子どもの資産形成を巡りマスク氏が新たな計画を提示
米国で未成年者の資産形成を支援する動きが広がる中、実業家イーロン・マスク氏が大規模な株式提供の方針を打ち出した。2027年に米国の子ども全員へ、宇宙・AI企業スペースXの株式をそれぞれ1株ずつ贈るという内容だ。
マスク氏は10月19日、SNS「X」を通じて計画を発表した。今回の株式提供は今後も続く取り組みの第1弾とされ、継続的な贈与を行う考えも示している。
この発表は、米政府が子ども向けの貯蓄・投資制度を拡充する中で行われた。政府による資金拠出とは別に、民間企業の株式を未成年者へ提供する構想として注目される。
トランプ口座では対象児童に1000ドルを政府が拠出
米国ではトランプ政権の下で、子どもの将来的な資産形成を目的とする「トランプ口座」が導入されている。
同制度では、2025年初めから2028年末までに誕生した子どもを対象に、連邦政府が1人当たり1,000ドルを一時金として拠出する。未成年者が投資制度を通じて資産を保有する仕組みとなっている。
米財務省は2026年10月、18歳未満の数百万人について、この制度への自動登録を実施した。制度の対象は広範囲に及び、政府主導による資産形成支援が進められている。
マスク氏が表明したスペースX株の提供についても、トランプ口座を活用する方式が想定されている。ただし、同制度を正式に利用するかどうかについて、本人から具体的な説明は出ていない。
スペースX幹部夫妻も200万人への株式寄付を計画
子どもにスペースXの株式を提供する構想は、マスク氏の発表以前から同社の経営陣によって示されていた。
2026年7月、スペースXのグウィン・ショットウェル社長とその夫は、約200万人の子どもを対象とする株式寄付の計画を公表した。すでにトランプ口座へ登録されている子どもに、1人当たり1株を提供するという内容だ。
夫妻は寄付先の選定に当たり、経済的に困難な状況にある家庭の子どもを優先する方針を示している。また、スペースXが事業拠点を構えるテキサス州の子どもも優先対象に含まれる。
これに対してマスク氏の計画は、米国の子ども全員を対象に掲げている点が異なる。ショットウェル夫妻の寄付が約200万人規模であるのに対し、新たな構想では対象者が数千万人に拡大する。
株式公開後のスペースXが贈与対象の資産に
今回の計画で提供されるのは、2026年6月に株式市場へ上場したスペースXの株式である。同社は史上最大規模の新規株式公開を実施し、公開取引を開始した。
10月16日の終値は1株約146ドルで、企業価値は約2兆ドルに達している。米国の18歳未満の人口約7,300万人に同価格で1株ずつ配布すると、評価額は約107億ドルとなる。
贈与される株式は、マスク氏が個人として保有するものと説明されている。マスク氏の個人資産は10月19日時点で9,000億ドルを超えており、世界最大の資産保有者となっている。
ただし、株式を受け取る子どもがどのような条件で保有できるのか、配布時点の市場価格をどのように扱うのかといった詳細は発表されていない。
株式配布の実施条件と対象者の詳細は未公表
マスク氏が示した計画では、米国内のすべての子どもに株式を提供する方針が掲げられている。しかし、実際の受給資格や対象者の確定方法は明らかになっていない。
米国の18歳未満の人口は約7,300万人に上るが、トランプ口座への自動登録者数は数百万人とされる。政府の制度に登録された子どもと、マスク氏が対象に挙げた全米の未成年者では人数に大きな差がある。
また、ショットウェル社長夫妻による約200万人への寄付計画と、マスク氏による全国規模の株式提供がどのように連携するのかも説明されていない。
マスク氏は今後も複数回の贈与を行う意向を示しているものの、2027年以降の実施回数や株数については具体的な数字を公表していない。
米国の子ども向け投資制度と民間による株式寄付が並行して進む中、2027年の配布に向けた制度上の手続きや対象条件の詳細が、今後の確認事項となる。