月3000億円超の支出も背景にガソリン補助見直し
政府が続けているガソリン価格への財政支援について、自民党が制度の縮小を求める提言案を10月26日に取りまとめた。補助金の支出が月間3000億円を超えた時期もあることから、財政負担を考慮した制度運営への転換を求めている。
提言の中心となるのは、2026年12月以降、ガソリンの目標価格を1リットル当たり毎月約5円引き上げる措置である。現在は170円程度に設定されている価格水準を2027年春先に向けて段階的に変更し、補助金の支出を減らす方向を示した。
政府による燃料価格の抑制策は、国際的なエネルギー情勢の変化を背景に継続されてきた。一方で、制度を支える公的資金の規模も大きく、与野党から財政上の問題を指摘する声が出ていた。
高市首相が経済産業相に制度の再検討を指示
補助金の見直しに向けた政府内の動きは、10月23日に高市早苗首相が赤沢亮正経済産業相へ検討を指示したことで具体化した。首相は、制度に伴う国の支出について与野党から懸念が示されていることを説明している。
その3日後となる26日、自民党はエネルギー供給の確保や物価上昇への対応に関する提言案を策定した。内容には、ガソリン補助金を縮小するための時期と価格変更の目安が盛り込まれた。
自民党が示したのは、一定期間をかけて制度の規模を減らす方法である。政府への申し入れを経て、実際の補助金の取り扱いについて検討が進められることになる。提言の段階では、制度変更の詳細がすべて確定したわけではない。
海外より低い国内ガソリン価格を制度改革の根拠に
自民党は補助金の縮小を求める理由として、日本国内のガソリン価格と海外の水準を比較した。提言では、日本の価格が欧州諸国の半分以下にとどまり、石油産出国である米国よりも低いと指摘している。
こうした価格差を踏まえ、現在の補助金制度を継続するのではなく、長期的に維持できる仕組みへの移行が必要だという考えを示した。支援の縮小に当たっては、燃料の販売現場で混乱を生じさせないことも条件として求めている。
ガソリン補助金は2022年に始まり、2025年末に終了した。しかし、イランを含む中東情勢の悪化を背景として2026年3月に再開された。現在の制度では、全国平均の小売価格が170円程度になるよう、上昇が見込まれる分を公費で補填している。
冬の電気・ガス料金には前年同様の支援を要求
自民党の提言は、ガソリン補助金の削減だけを求める内容ではない。冬季の電気料金とガス料金については、前年と同じように政府が負担軽減策を講じることも盛り込んでいる。
これにより、ガソリンに対する価格抑制措置と、家庭などが利用する電気・ガスへの支援では、異なる対応を政府に求める形となった。ガソリンについては財政支出の縮小を目指し、冬の光熱費については支援措置の実施を要請している。
今回の提言案は、エネルギーの安定供給と物価高対策を一体的に扱う議論の中でまとめられた。燃料価格への支援を段階的に変更しながら、冬場の電気・ガス料金への対応も求める点が特徴となっている。
補助制度の持続性を重視し政府への申し入れへ
自民党は、ガソリン価格の目標を12月から春先にかけて毎月約5円ずつ変更することを基本方針とした。現在の170円程度という水準を徐々に引き上げ、補助金による価格抑制の範囲を縮める内容である。
ただし、価格目標の変更は補助制度の設計に関する提案であり、店頭価格の上昇幅を確定するものではない。また、補助金をどの時点でどの程度削減するかについては、政府の判断が必要となる。
自民党は近く、取りまとめた提言を政府に申し入れる予定である。今後の政府の検討では、月間3000億円を超えたこともある財政支出の問題に加え、給油所での混乱を防ぐための対応や、冬の電気・ガス料金支援の実施が扱われる。