AI導入と人材育成を並行して進めるNEC
NECが、AIによる業務の自動化と社員の能力開発を組み合わせた組織改革を進めている。同社は8月初め、AIエージェントだけで仕事を進める部署を立ち上げ、9月1日には人材育成を担当する新会社の設立も発表した。AIに任せる業務を増やす一方、社員には新たな環境で必要となる知識や技能を身につけてもらう考えだ。AI活用を前提とした業務構造への移行と、人材の再配置に向けた教育を並行させる形となる。
自律型AI部署が定型業務や分析を処理
8月に設けたAI部署は、「部門長」「ボード」「マネジャー」など異なる役割を与えたAIを4階層で構成する。他部署から依頼された仕事に対し、マネジャー役のAIが必要となるAI社員を生成し、それぞれに作業を割り当てる。役員向け会議資料の作成、売り上げ情報の毎日の更新、経営に関する分析などが対象となっている。実証では資料作成や分析に必要な時間を従来比で7分の1に減らしており、NECはAIへの業務移管によって社員が別の仕事へ注力できる環境づくりを進める。
人材育成会社を10月1日付で新設へ
NECは人材面での対応として、10月1日付で「NECラーニング&キャリア」を設立する。NECビジネスインテリジェンスが持つ人材開発機能を、社員のキャリア開発を支援するNECライフキャリアに統合して発足させる。新会社では社員へのキャリア相談や学習プログラムを提供するとともに、管理職がAI時代に対応した人材指導を行えるよう支援する。従来の組織を前提とした技能だけでなく、AI利用に伴う組織構造の変化に対応するための知識提供を重視する。
2030年度までの経営計画と施策を連動
一連の取り組みは、NECが2030年度までを対象として掲げる中期経営計画とも連動する。同社はシステム開発における中間工程のシステム構築をAIで代替し、上流工程にあたるコンサルティングと下流の運用分野へ人員を重点的に振り向ける方針を示している。AIだけで運営する部署は、実際の業務を自動化するための取り組みとなる。一方、新たな人材育成会社は、業務構造の変化に対応する社員の能力開発を担い、業務改革と人材戦略の双方を支える。
AIが担う仕事と人が担う仕事を再構成
NECはAIを導入するだけでなく、AI利用によって変化する社員の役割にも対応する方針だ。資料作成やデータ更新などAIが処理できる業務を移管し、社員を企画や顧客対応といった創造性や対人能力が求められる仕事へ振り向ける。これに合わせてリスキリングやキャリア支援を強化し、管理職についても新たな業務環境に対応できるよう支援する。無人のAI部署と人材育成会社を並行して整備することで、AIによる業務改革と社員の役割転換を一体的に進める方針が示された。