AIを経済社会の基盤とする政府の新たな政策方針
政府は10月21日、人工知能(AI)の社会への導入を推し進めるため、関係府省庁による連絡会議を初めて開催した。会議は経済産業省内で開かれ、AIの普及促進に向けた政策や、産業分野ごとの具体的な取り組みについて検討を始めた。
今回の会議では、AIの導入を個々の企業の業務改善にとどめず、産業構造の転換につなげる方針が示された。政府は、AIが社会や経済を支える基盤となることを前提に、今後の政策を進める考えだ。
赤沢亮正経済産業相は、AIが社会経済の基盤となることを踏まえた政策の立案と実行が必要だと説明した。政府は、こうした方針を具体化するため、関係省庁の連携による検討を開始した。
AX推進による中小企業の生産性向上と産業改革
政府が進める政策の中心となるのが、AX(AIトランスフォーメーション)である。AIを業務に取り入れることで、企業の仕事の進め方を変え、産業全体の効率化を促進する取り組みとして位置付けられている。
特に重視されているのは、人材の確保が難しい中小企業への対応だ。政府は、こうした企業でAIの利用を広げ、業務の効率化を進めることを目指している。
今回の連絡会議では、中小企業の業務改善と産業構造の転換を政策上の課題として取り上げた。政府は、AIの普及を加速させるための行動計画を年内にまとめる方針であり、その策定に向けた省庁間の協議を進める。
複数の産業に共通する業務改革の具体例を検討
AIの普及を進める対象には、医療・介護、運輸、建設など、人員不足が顕著な分野が含まれる。政府は、それぞれの業界で行われている業務を対象に、AIを利用できる具体的な場面を検討する。
介護分野では、利用者に関する記録やケアプランの作成が対象となる。建設業では工事の施工管理、物流業では受注と発注に関わる作業が検討事項に挙げられた。
これらの業務は、いずれも現場で働く従業員の負担を減らすためのAI利用例として示されている。政府は、各分野の実務に合わせた導入方法を検討し、業務改革を具体的に進めるための取り組みを整理する。
技術の普及に合わせた既存制度の課題を洗い出し
政府は、AIを幅広く利用するための政策として、規制や制度の点検にも着手する。各業界でAIの導入を進める際、現在の仕組みのうち見直しが求められる部分を調べる方針だ。
この検討では、業界ごとの実務と制度の両面から課題を整理する。AIの活用方法を明らかにする作業と並行し、既存の規制が新たな業務の進め方に対応しているかを確認する。
ただし、10月21日の初会合では、具体的な規制改正の対象や実施時期は公表されていない。政府は今後、関係省庁の担当者による協議を重ね、制度の見直しが必要な事項を取りまとめる。
年末までにAX行動計画を策定し政策を具体化へ
政府は、今回の連絡会議で始めた検討を踏まえ、2026年中にAXの行動計画を策定することを目標としている。AIの利用を促進するための具体例を整理するとともに、制度上の課題についても取りまとめを進める。
赤沢経済産業相は、成長戦略の実現に向け、さまざまな産業でAIを利用した業務の改革を進める方針を表明した。とりわけ労働力の不足が深刻な業界については、早期に実際の業務へ導入することを重視している。
政府は、AIを活用した中小企業の業務改善と産業構造の転換を並行して進める考えだ。年内の行動計画策定に向け、関係省庁が現場での利用方法と制度整備に関する検討を続ける。