米イラン交渉停滞の中で中東訪問を実施
茂木敏充外相は8月17日から6日間の日程でサウジアラビアとオマーンを訪れ、地域情勢の沈静化に向けて両国の要人と会談する。米国とイランは6月に戦闘終結を宣言する覚書を交わし、最終合意を目指して60日間の協議期間を設けたが、交渉は膠着している。日本政府は現地各国との対話を通じて、緊張緩和につなげたい考えだ。
日本の外相が中東を訪れるのは、米国とイスラエルが2月28日にイランへの軍事作戦を開始してから初めてとなる。軍事衝突の影響が海上物流や周辺国に広がる中、現地で直接意見を交わす機会となる。
地域で影響力持つサウジと情勢認識を共有
サウジアラビアではファイサル外相と会談する。サウジは中東地域の主要国の1つであり、イラン情勢を巡っても大きな影響力を持つ。日本側は地域の緊張を抑えるための対応について意見を交わし、今後の協力を確認する。
同国ではイランによる攻撃でインフラ施設にも被害が生じている。茂木氏は今後の復旧や復興を巡り、日本として協力する考えも示す見通しだ。安全保障だけでなく、被害を受けた地域の立て直しも協議対象となる。
フーシ派巡るイエメン情勢も会談の焦点
茂木氏はサウジ滞在中、イエメン暫定政権のアリーミ大統領評議会議長とも会う。イエメンではフーシ派との内戦が続いた影響から、暫定政権が国外に活動拠点を置いている。会談では国内の安定化に向けた支援策を中心に意見を交わす予定だ。
フーシ派はイエメン沖を航行する商船への攻撃も行っており、問題は国内政治にとどまらない。バベルマンデブ海峡を利用する国際輸送にも影響が及んでおり、地域安定と航路の安全を同時に進める必要がある状況となっている。
オマーンとの対話でイランとの橋渡しに注目
オマーンではバドル外相と会談する。同国はホルムズ海峡の開放を巡ってイランとの協議を続けているため、日本側は今後どのように協調していくかを確認する。米国とイランの直接交渉が停滞する中、イランと対話を維持するオマーンとの協議が今回の訪問の柱の1つとなる。
さらに、両国間の経済や観光分野についても話し合う。中東情勢への対応だけに限定せず、日本とオマーンの関係全体を強化する方向で協議を進める。
地域沈静化と物流安定へ日本の関与を継続
今回の中東訪問では、地域情勢の緊張緩和と海上物流の安定が相互に関連する課題として扱われる。ホルムズ海峡では通常の通航環境が戻っておらず、バベルマンデブ海峡でも商船への攻撃が安全上の問題となっている。日本にとっても、中東からのエネルギー輸入を支える航路の安定は重要となる。
茂木氏はサウジ、オマーン、イエメン暫定政権との一連の会談を通じ、地域情勢への対応や復旧支援について調整する。米イラン間の協議が進展しない中、日本は中東各国との意思疎通を重ね、情勢の安定化に向けた関与を続ける。