AI自律型ドローンの国内展開が新たな局面へ
ドイツの新興企業ヘルシングが手がける迎撃用無人機について、日本での展開を楽天グループが後押しする。楽天は国内の販売窓口として防衛省への紹介を担い、採用につながるよう支援する。将来は日本国内で生産規模を拡大する構想も視野にあり、海外の防衛技術を日本市場に展開する取り組みが始まる。楽天にとっては、これまで扱ってこなかった軍事利用可能な機体への参入となる。国内での流通や導入支援を担当することで、ヘルシング側は日本の防衛分野への接点を得ることになる。
ミサイル迎撃などを想定し陸自が性能確認へ
ヘルシングのドローンは、ミサイルの撃墜などを行える能力を持つとされる。陸上自衛隊は9月末までに実証実験を行い、導入するかどうかを判断する予定だ。使用方法や配備の規模はまだ決まっていないが、沿岸地域で敵の上陸を阻止する場面などでの利用が想定されている。今後の採用判断に向け、実際の運用を念頭に置いた確認が進められる。防衛省への供給を実現するためには、まずこの検証を通じて陸上自衛隊が導入の可否を見極めることになる。
ヘルシングが防衛向けAI技術を本格事業化へ
ヘルシングはAIを組み込んだ自律型ドローンを含め、防衛関連の製品やシステムを開発している。特徴の一つは、人工知能を利用して無人機を自律的に動かす仕組みを設計している点にある。ウクライナ戦争ではウクライナ、ロシアの双方が偵察用、攻撃用、迎撃用のドローンを大量に運用し、戦局にも影響を与えてきた。こうした状況を背景に、安全保障分野で無人機の存在感が増している。ヘルシングはAIと無人機技術を組み合わせた防衛関連システムを事業の柱の一つとしており、今回の提携で日本市場への展開を進める。
楽天の既存ドローン事業が新たな提携を後押し
楽天は2015年頃からドローン事業を進め、建築物の外壁や屋根を調査するサービスのほか、操縦技術や資格取得を支援する事業を手がけてきた。今回の協業は、そうした国内での実績を防衛分野へ広げる動きとなる。また、昨年国内で行われた防衛装備品の展示会では、ウクライナのスタートアップによるドローンなどの出展を支援した。防衛関連企業との接点を重ねた上で、今回は海外製品の国内販売に直接関わる。民間向けサービスから始まったドローン事業が、販売支援を通じて安全保障分野にも範囲を広げることになる。
防衛産業の拡大を見据え国内供給体制を検討
楽天は、日本の防衛市場が今後広がるとみて、ヘルシング製品の販売支援を通じて需要獲得を目指す。計画は防衛省への紹介にとどまらず、中長期的には国内での量産も検討対象となっている。実証実験を経て導入が進む場合、日本での販売や供給をどのような形で整えるかが次の段階となる。ヘルシングにとっては日本での販売基盤を確保する動きであり、楽天にとっては防衛関連の新市場に事業領域を広げる取り組みとなる。民生用ドローンで蓄積した経験を基盤に、防衛用途の無人機を扱う新たな事業展開が動き始めている。