東京市場で円安が再び加速する展開
7月23日の東京外国為替市場では、円を売ってドルを買う取引が優勢となり、円相場は一時1ドル=163円42銭まで下落した。1986年11月以来、約39年8カ月ぶりとなる円安ドル高水準を記録した。午後5時時点の相場は163円31~32銭で、前日と比べて38銭の円安だった。
円は欧州の共通通貨ユーロに対しても値下がりした。同時刻のユーロ相場は、前日より69銭円安ユーロ高の1ユーロ=186円57~61銭だった。主要通貨に対して円の弱さが目立つ市場となった。
タンカー攻撃発表で原油相場上昇
円安を促した材料の一つが、中東の石油輸送を巡る緊張の高まりだった。イランから支援を受けるイエメンのフーシ派は、サウジアラビアの石油タンカーを攻撃したと発表した。この情報を受け、原油供給への不安から先物価格が上昇した。
同時に、米国とイランの軍事衝突が拡大するとの懸念も金融市場で強まった。国際情勢への不透明感が増すと、決済や資産保有に広く利用されるドルへ資金が向かいやすくなる。今回も安全性を重視したドル購入が増え、対ドルで円を押し下げた。
輸入負担増加への警戒が円を圧迫
原油価格の上昇は、日本の貿易収支にも影響を及ぼす要素として注目された。日本は原油などのエネルギー資源を海外から輸入しているため、価格が高い状態が続けば輸入額が増加する。市場では、その結果として貿易赤字が拡大するとの見方が強まった。
輸入費用の増加は、企業によるドル調達の必要性を高める。原油などの代金を支払うために円をドルへ交換する取引が増えれば、円安圧力がさらに強まる。中東情勢の悪化懸念と原油高が、日本固有の円売り材料としても作用した。
米金融政策への見方が相場を左右
東京市場で進んだ円安は、ニューヨーク市場に入ってから一段と加速した。円相場は一時1ドル=163円台後半に達し、1986年12月以来、およそ39年半ぶりの低い水準となった。海外市場でも円売り・ドル買いが継続したことを示している。
背景には、米連邦準備制度理事会がインフレを抑制する目的で利上げを実施するとの観測がある。米国の金利が引き上げられれば、ドルで運用する資産の利回りが高まるとの期待が生じる。円よりドルを保有する利点が大きくなるとの判断が、ドル購入を後押しした。
介入示唆だけでは円安抑制に至らず
急速な円安を受け、片山さつき財務相は23日午前、必要が生じれば果断な対応を取る姿勢を示した。発言は政府による円買い・ドル売り介入の可能性を市場に意識させる内容だった。政府が相場の動きを注視していることを改めて示した。
しかし、外国為替市場では発言への反応が広がらず、円安の進行を止める効果は限られた。市場関係者は、従来の発言から大きな変化がなく、実際に介入が行われる段階には達していないと受け止めた。政府の警戒姿勢よりも、中東情勢や原油価格、米国の金利見通しが相場を動かす力となった。