衣料品市場の競争激化を受け大手2社が事業を一本化
ワールドとTSIホールディングスは10月14日、経営統合によって事業運営の合理化を進めると発表した。2027年3月に共同持ち株会社を設け、配送や電子商取引(EC)、社内システムなどの機能をまとめる計画だ。
国内の衣料品市場では、人口減少による需要の伸び悩みと、円安を背景とする商品調達費用の増加が経営上の負担となっている。両社はこうした事業環境に対応するため、運営体制の見直しに踏み切る。
今回の統合は、2社の売上高を合計すると4000億円を超える規模となる。事業の集約によって経費の削減を進めると同時に、国内アパレル市場での経営基盤を強化する方針だ。
配送業務の集約によって運営コストの圧縮を推進
経営統合の柱となる施策の1つが、商品配送に関する業務の一体化だ。ワールドとTSIホールディングスは、それぞれの事業で行ってきた配送業務を集約し、運営に必要な費用を減らす方針を示している。
衣料品を取り扱う企業にとって、商品の配送は販売活動を支える重要な業務となる。今回の計画では、この分野を2社で共通化することが経営効率を高めるための具体策に位置付けられた。
物流関連の業務をまとめることは、今回の統合で掲げる経費圧縮策の一環だ。両社は配送だけでなく、販売や管理に関係する仕組みについても統一を進め、事業全体の運営方法を見直す。
ECサイトと社内システムの統合で業務を効率化
オンライン販売に関する機能も、経営合理化の対象となる。両社はECサイトを集約する方針を示しており、個別に運営してきた電子商取引の仕組みを統合する。
また、社内で利用する業務システムについても一体化を進める。配送とECに加えて、システムの運用を共通化することで、複数の事業にまたがる管理費用を抑える考えだ。
今回の発表では、経営統合の目的としてコスト削減と事業効率の改善が示された。売上規模を大きくするだけではなく、商品を販売するための基盤そのものを見直す点が特徴となっている。
少子高齢化と仕入れ費用の上昇が経営を圧迫
国内のアパレル企業を取り巻く環境は、人口構造の変化と為替相場の影響を受けている。少子高齢化に伴う市場の停滞に加え、人口減少によって国内需要の拡大が難しい状況となっている。
費用面では、円安による調達価格の上昇が課題となっている。衣料品の仕入れにかかる負担が増えるなか、各社は競争の激しい市場で事業を維持する必要がある。
ワールドとTSIホールディングスは、こうした複数の経営課題に対し、会社の枠組みを統合する方法を選んだ。共通の運営体制を構築し、配送やシステムに関係する費用を抑えることで、経営の効率化を進める。
新持ち株会社の設立で国内業界3位の規模を形成
経営統合に伴い、2027年3月に「インフィニティ・ユナイテッド」が発足する予定だ。新会社は東京都内に本社を構え、ワールドとTSIホールディングスを傘下に置く。
経営陣については、ワールド社長の鈴木信輝氏が新会社の社長に就任し、TSIホールディングス社長CEOの下地毅氏が会長を務める。両社のトップが新体制の運営を担う。
売上高を合算した規模では、ファーストリテイリング、しまむらに次ぐ国内3位となる見込みだ。TSIホールディングスが運営する「FREAK’S STORE」などの事業も、新たな企業グループの枠組みに入る。
両社は2027年3月の統合に向け、物流、EC、システムの共通化を経営合理化の中心に据える。国内市場の停滞と仕入れ費用の増加という課題に対し、共同持ち株会社を通じた経営体制の再編で対応する。