イオンの小売事業で収益格差が拡大、店舗改革が課題に
イオンが10月13日に発表した2026年8月中間決算では、グループ全体の利益が大幅に増加した一方、主力の総合スーパー事業では赤字が続いた。ドラッグストアや商業施設が好調だったのに対し、総合スーパーは営業収益を伸ばしながらも利益を確保できなかった。
2026年3〜8月期の総合スーパー事業の営業損益は126億円の赤字だった。売上が増加しても採算改善には至らず、グループ内で事業ごとの収益状況に違いが生じている。
こうした中、イオンは食品スーパーの店舗再編と低価格商品の販売拡大を進める。既存店舗の見直しに加え、小型スーパーやドラッグストアへの業態転換を図る方針を示した。
食品スーパー約100店舗を2030年度までに閉鎖する計画
店舗網の再編を進めるのは、イオングループ傘下のユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスだ。同社は2030年度までに約100店舗を閉鎖する計画を明らかにした。
同社は首都圏などで食品スーパーを展開しており、傘下には「マルエツ」「カスミ」「いなげや」などがある。今回の計画では、既存店舗の一部を閉鎖する一方、別の小売業態への転換も進める。
転換先として挙げられたのは、イオンが首都圏で展開する小型食品スーパー「まいばすけっと」やドラッグストアなどだ。吉田昭夫社長は記者会見で、店舗の見直しをグループ全体の利益につなげる考えを示した。
約100店舗の閉鎖計画は、単に店舗数を削減するだけでなく、既存の小売拠点を異なる業態に切り替える方針も含んでいる。
節約志向の定着を受け低価格ブランドの販売を強化
食品小売りを取り巻く消費動向について、吉田社長は経済指標の改善と実際の購買行動には違いがあるとの認識を示した。景気を示す指標が上向いている一方、食品の購入では家計支出を抑える姿勢が根強く残っていると説明した。
イオンはこうした消費行動に対応するため、低価格帯の商品を中心とするプライベートブランド「ベストプライス」の販売を拡充する。
同ブランドは価格を重視する消費者に向けた商品群であり、食品小売り分野における販売強化策の柱となる。総合スーパー事業では売上が前年同期を上回ったものの、126億円の営業赤字を計上しており、低価格商品の販売拡大と事業の収益改善を並行して進める。
ドラッグストアと商業施設が連結利益の拡大を支える
総合スーパー事業の苦戦とは対照的に、ドラッグストア関連事業は連結業績を大きく押し上げた。イオンが連結子会社化したツルハホールディングスの好調が、ヘルス&ウエルネス事業の利益増加につながった。
商業施設を展開するイオンモールも好業績を確保した。これらの事業がグループ全体の増益を支え、営業利益は前年同期比10.7%増の1307億円となった。中間期の営業利益としては2年連続で過去最高を更新した。
営業収益は13.8%増の5兆9041億円に拡大し、中間期として最高額を記録した。純利益も前年同期の約3.3倍に相当する133億円となった。ツルハホールディングスの連結子会社化に加え、前年同期に計上された特別損失の減少が最終利益の増加に寄与した。
災害損失を計上しつつ通期見通しを維持、再編を継続
イオンは今回の中間決算で、熊本県内の災害などによる損失41億円を特別損失に計上した。対象には7月に発生したイオンモール熊本の爆発事故も含まれている。
同事故については原因の調査や施設被害の評価が完了しておらず、最終的な損失額は明らかになっていない。災害関連の損失を計上したものの、イオンは2027年2月期の連結業績見通しを修正しなかった。
中間期の連結決算は増収増益となったが、主力の総合スーパー事業では赤字が継続した。一方、ドラッグストア事業の拡大と商業施設の好調が全体の収益を支えている。
イオンは約100店舗の閉鎖計画に伴う業態転換を進めるとともに、低価格商品の販売を強化する。グループ全体で過去最高の営業利益を確保する中、既存の食品小売り事業についても収益構造の見直しを進める方針だ。