道路予算発言の撤回後も残る地元住民の不安
簗和生農林水産相が地元・栃木県の那須烏山市と那珂川町をめぐり、道路予算を大幅に減らしたとの趣旨の発言をしていた問題で、実際の交付金が両自治体で前年度から大幅に減少していたことが注目されている。簗氏は10月5日に発言を自身のものと認めて撤回し、国民や地元関係者に謝罪した。
簗氏は、自身の意向で予算を左右できるかのような発言は不適切だったと認めた。その一方で、担当省庁に対して予算を削減するよう働きかけた事実はないとしており、発言と実際の交付額減少との関係を否定している。
那須烏山市と那珂川町で交付金が大幅に減額
那須烏山市では、道路などのインフラ整備に充てる社会資本整備総合交付金の2026年度提示額が2426万円となった。2025年度と比較すると6535万円少なく、減少率は約63%に達した。市は2026年4月、国土交通省から栃木県を通じて金額を示されたとしている。
那珂川町でも同じ交付金の2026年度提示額は2262万円だった。前年度から4934万円、約54%の減額となっている。両自治体とも国から減額理由について説明を受けていないとしており、簗氏の発言によって予算配分の経緯に関心が集まる形となった。
予定した道路工事に影響、自治体が説明求める
交付金の減少は、両自治体が計画していた道路整備にも影響している。那須烏山市では、市内の工業団地を通る市道について、2026年度に工事を予定していた100メートルの区間で着工できない状態となった。
那珂川町でも、集落を通る町道の拡幅工事を2026年度に予定していたが、発注できていない。那須烏山市の川俣純子市長は、発言の撤回と謝罪があった一方、住民に大きな不安を与えたとして説明を求めた。那珂川町の益子純恵町長も、地域住民の不安を解消するための説明が必要との考えを示している。
簗農水相は政治的な予算介入への関与を否定
問題の発言は2026年5月に開かれた自民党支部の会合で行われた。簗氏は、那須烏山市と那珂川町の首長が自身を支持しなかったことに関連して、道路予算を大きく減らしたとの趣旨の発言をしていた。10月5日には発言が事実だったことを認めながら、内容を撤回した。
簗氏は、担当省庁への予算削減の働きかけは行っていないと説明している。木原官房長官は、簗氏と国土交通省との接触記録の有無を含め、調査中との認識を示した。簗氏自身は高市早苗首相から職責を全うするよう指示されたとして、農林水産相を続ける考えを明らかにしている。
公平な予算配分めぐり与野党から検証要求続く
与野党からは、国の予算が政治家への支持の有無によって左右されることがあってはならないとして、事実関係を明確にするよう求める声が広がった。国民民主党は、政治的な圧力によって客観的で中立的であるべき予算配分がゆがめられていないかを確認する必要があるとして、全省庁での調査を要求した。
自民党も簗氏に最後まで説明責任を果たすよう求め、日本維新の会も十分な説明が必要との立場を示した。立憲民主党、共産党、民主改革の会、社民党からは辞任や更迭を求める声も上がっている。簗氏が予算削減への関与を否定する中、実際に大幅な減額が生じた経緯と予算決定過程の確認が重要な論点となっている。