将来の戦場を見据え新たな技術研究が始動
米国のヘグセス国防長官は9月30日、米軍の技術的な優位性を維持するため、将来の戦争と必要な技術を検討する新たなプロジェクトを立ち上げる方針を明らかにした。研究期間は120日間とされ、短期間で具体的な成果をまとめる。
計画には米宇宙企業スペースXの最高経営責任者イーロン・マスク氏ら、民間部門の技術や経営に詳しい人物が参加する。国防総省内部だけで将来の戦場を検討するのではなく、外部の知見も取り入れながら次世代の軍事技術を探る取り組みとなる。
マスク氏らが120日間で将来技術を検討へ
新プロジェクトでは、マスク氏のほか、防衛技術企業アンドゥリルの共同創業者パーマー・ラッキー氏、元下院議長ニュート・ギングリッチ氏が共同で主導する。将来の戦場で必要となる能力や技術を検討し、120日以内に研究結果をまとめる計画だ。
ヘグセス氏は、将来の紛争を予測する能力が国防総省の内部だけに存在するわけではないとの認識を示している。急速に変化する技術を軍事分野へ取り込むため、民間の技術者や経営者の知識を活用し、実際の開発や試験、配備につながる方策を検討する。
自律型ドローンを次世代戦闘の柱に位置付け
将来技術の研究と並行し、米軍は自律型兵器を専門に扱う組織も整備する。ヘグセス氏は「自律戦司令部(AUTOWARCOM)」を新設し、ドローン、ロボット、AIなどを米軍全体へ展開する方針を打ち出した。トップには四つ星将官を置き、2027年10月までの発足を目指す。
ヘグセス氏はAIによる標的選定を含む自律型システムの戦闘利用を重視している。高度な攻撃能力に加え、大量の安価な無人機を投入することで、相手より低いコストで継続的な圧力を加える戦闘態勢を構築する考えを示した。
2027年度に546億ドルの関連予算を要求
自律型兵器への重点配分は予算面にも表れている。国防総省は、ドローンの開発などを管理する国防自律戦グループ向けとして、2027年度に546億ドルの予算を要求している。2026年度の約2億2600万ドルと比べて極めて大きな増額となる。
この組織は、自律システムやロボットを各部門が個別に調達する従来の形から、より中央集権的な管理へ移行する役割を担う。ただし、要求されている546億ドルについて、具体的にどのような用途へ配分するのかは明らかになっていない。
民間技術と軍組織を結び戦闘能力強化へ
米国が進める一連の施策では、将来の技術を研究するプロジェクトと、それを実際の戦力として展開する自律戦司令部が同時に打ち出された。自律型兵器を一時的な取り組みとして扱わず、恒久的な軍組織の中に位置付ける方向が示されている。
ヘグセス氏は同時に、将官を20%削減したと説明し、軍上層部の組織構成も見直している。民間の技術力を取り込む120日間の研究と、自律兵器を集中管理する新司令部の創設を通じ、米軍はドローンやAI、ロボットを重視した戦闘体制の整備を進める。