積極財政と市場への配慮を両立する方針を提示
高市早苗首相は10月5日の所信表明演説で、経済成長を政権の最優先事項とする一方、市場からの信頼を維持する財政運営を進める考えを示した。「責任ある積極財政」の下で大規模かつ長期的な財政支出を行い、民間投資や成長につなげる方針だ。同時に財政の持続可能性を重視し、国債の発行規模を適切に管理することで、成長政策と財政面の安定を両立させる姿勢を鮮明にした。
消費税減税の財源は赤字国債に頼らず確保へ
食料品を対象とする消費税減税は、臨時国会における重要な政策課題となる。首相は物価上昇への対策として減税を位置づけ、家計に余裕をもたらすことを目的に法案成立への支持を求めた。財源については特例公債に依存しないと明言し、市場の信認を確保できる形で必要な資金を手当てする方針を説明した。積極財政への財政悪化懸念を意識し、政策内容を丁寧に説明しながら市場と向き合う考えも示した。
中国には対話継続と懸念事項への対応を求める
外交では中国を日本にとって重要な隣国と位置づけ、戦略的互恵関係を幅広く進める考えを表明した。一方、日本周辺における軍事活動や威圧的な措置、邦人の安全、人権を巡る問題を挙げ、日本として必要な主張を行い、中国側に責任ある対応を求める方針も明らかにした。国益を守るための対話を続け、両国間で建設的かつ安定した関係を築くことを目指す。
ICC支持や拉致問題など外交課題への立場示す
国際刑事裁判所(ICC)を巡っては、日本が国際裁判所を継続して支持してきた立場を確認し、法の支配に基づく国際秩序の維持と強化を掲げた。米国がICC加盟国に脱退を呼びかける中でも、日本としての基本姿勢を示した。また、北朝鮮による拉致問題の解決に向けては、首脳会談を含め、あらゆる選択肢を排除しない考えを表明した。沖縄県を巡っては、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を進めるとともに、地域経済の活性化に取り組む方針を示した。
内政と外交の主要課題を臨時国会で前進へ
国内政治では、先の国会で改正国民投票法が成立したことを踏まえ、憲法改正を巡る党派を超えた議論の進展に期待を示した。衆院議員の定数削減についても、今国会での実現に向けた協議を求めている。経済成長を政策運営の軸としながら、財政への信頼確保、中国との関係、国際秩序、北朝鮮問題など幅広い課題への基本方針を示した。臨時国会では消費税減税をはじめ、演説で掲げた政策を具体化するための議論が進められることになる。