低迷してきた折り畳み端末市場に転換点
折り畳み式スマートフォン市場が、新たな局面を迎えようとしている。アップルは9月9日、米カリフォルニア州クパチーノの本社で特別イベントを開き、同社初となる折り畳み式iPhoneを発表する見通しだ。これまで市場を主導してきたサムスン電子などに加え、世界的な販売基盤を持つアップルが参入することで、市場規模の拡大が注目されている。
折り畳み型は、端末を開くことでタブレットに近い広い画面を利用できる一方、通常のスマートフォンより価格が高く、長く限定的な市場にとどまってきた。調査会社IDCはアップルの参入がこうした状況を変える要因になるとみている。
2500ドル想定でも初年度1000万台超へ
IDCによると、アップルの折り畳み式iPhoneは発売初年度だけで1000万台を超える出荷が見込まれている。想定される販売価格は2500ドル、約39万8000円で、一般的なスマートフォンを大きく上回る水準だ。それでも同社のブランドや製品を強く支持する購入層が需要を支えるとの判断だ。
IDCは、この製品が広範な消費者向けではなく、高価格を受け入れられる限られた層を主要な顧客として想定している。そのため販売台数だけでなく、1台当たりの価格の高さもメーカー側の収益確保につながる。市場規模が小さくても、折り畳み型が事業面で魅力のあるカテゴリーとされる理由の一つとなっている。
2027年にアップルが世界出荷の4割占有予測
IDCは折り畳み型スマートフォンの世界市場が2026年に12.6%拡大し、2027年には18%増へ成長が加速すると見込む。さらに2027年時点で、アップルが世界出荷台数の約40%を占めるとの予測も示している。参入直後から主要メーカーの一角に入るシナリオが想定されている形だ。
この分野では、サムスン電子が他社に先駆けて市場を開拓してきた。グーグルも8月20日に日本で「ピクセル11」シリーズの折り畳み型「プロフォールド」を投入し、価格を27万9900円からとしている。アップルの新製品は、すでに複数の大手メーカーが競う高価格帯市場に加わることになる。
スマホ全体は16.7%減で価格上昇も進行
折り畳み型への期待とは対照的に、スマートフォン市場全体の環境は厳しい。IDCは2026年の世界市場について、過去最大となる16.7%の縮小を予測している。従来の見通しからさらに下方修正されており、部品価格の上昇が市場を圧迫する要因になっている。
特にメモリー半導体などの価格上昇に加え、AI向けに必要となる部品の供給不足が生産面の制約となっている。こうしたコスト増加は端末の店頭価格にも反映され、スマートフォンの低価格化が難しくなっている。販売台数の減少が予想される中、メーカー各社にとって高単価モデルの収益性が一段と重要になっている。
製品投入時期の分散と新体制で新戦略へ
アップルは9月のイベントで、折り畳み型のほか高機能モデル「18プロ」なども発表する見通しだ。一方、標準モデルの「18」と薄型の「エア」は2027年春に発売されると報じられている。発売時期を年間に分散し、特定の季節に販売が偏る構造を緩和する狙いがあるという。
さらに同社では9月1日、ハードウエア担当の上級副社長ジョン・ターナス氏がCEOに就任し、ティム・クック氏は会長に退く予定だ。9月9日のイベントは新CEO体制で最初の製品発表となる。世界のスマートフォン市場が縮小する中、折り畳み式iPhoneの投入と販売時期の見直しが、アップルの次の製品戦略を示す重要な動きとなる。