週明けNY株式市場で指数に明暗
6月8日のニューヨーク株式市場では、ダウ工業株30種平均とナスダック総合指数の方向が分かれた。ダウ平均は前週末比80ドル77セント安の5万0786ドル01セントで取引を終え、続落した。中東情勢の悪化を警戒した売りが相場の重荷となった。
一方、ハイテク株で構成されるナスダック総合指数は反発した。終値は220.23ポイント高の2万5929.66で、4営業日ぶりの上昇となった。前週末に大きく売られた銘柄を買い戻す動きが出たことが、指数を押し上げた。
市場では、イランとイスラエルの攻撃停止表明が一定の安心材料となった。ただ、情勢の先行きに対する警戒は残り、株式市場全体の上値は抑えられた。相場はこの日の高値から押し戻されて終了した。
ハイテク株に買い戻し広がる
S&P500の業種別では、情報技術が1.5%上昇し、市場全体を下支えした。フィラデルフィア半導体指数は5.6%高となり、前週末の急落から大きく戻した。半導体関連株への買いが、ナスダックの反発につながった。
インテルは11.2%上昇した。グーグルがAI処理用半導体「TPU」を300万個超発注したとの報道を受け、投資家の買いが集まった。AI関連需要への関心が、同社株の大幅高につながった。
マーベル・テクノロジーは9.6%値上がりした。S&P500指数への組み入れが6月22日の取引開始前に予定されていることを受け、投資家の買いが入った。ブロードコムは前週末に決算を材料に売られた後、この日は2.8%上昇した。
アップルは新AI発表後に下落
個別銘柄では、アップルの下落が目立った。同社は世界開発者会議で、人工知能機能を組み込んだ新しい音声アシスタント「Siri AI」を発表した。しかし株価は取引終盤に下げ幅を広げ、1.9%安で終了した。
ダウ構成銘柄では、保険のトラベラーズやITのアップルが売られた。一方、通信機器のシスコシステムズや半導体のエヌビディアには買いが入った。業種や銘柄ごとに、投資家の判断が分かれる展開となった。
製薬大手イーライ・リリーは1.6%上昇した。次世代肥満症治療薬「レタトルチド」の臨床試験結果で、減量効果や膝の痛みの緩和に加え、睡眠時無呼吸の重症度を抑える効果が示されたことが材料となった。
為替と債券は米利上げ観測を反映
為替市場では、ドルが小幅に下落した。イランとイスラエルが相互攻撃の停止を明らかにしたことで、中東情勢を背景に買われていたドルから他の通貨へ資金が移った。ドル指数は0.07%安の100となった。
ただ、ドルは約2カ月ぶりの高値圏を維持した。先週発表された米雇用統計が堅調で、連邦準備理事会による年内利上げ観測が強まったためである。円は対ドルで0.1%高の160.17円、ユーロは小幅高の1.1531ドルだった。
債券市場では、2年債利回りが4.153%へ低下し、10年債利回りは4.55%へ上昇した。2年債と10年債の利回り格差は39.4ベーシスポイントに広がった。市場は6月10日に発表される米消費者物価指数を、金融政策を見極める材料として注視している。
原油と金は中東材料で揺れる
原油市場では、中東情勢を受けて価格が大きく動いた。取引序盤には米原油先物が5%超上昇した。イスラエルによるイラン攻撃再開やレバノンへの攻撃を受け、広範な戦争への懸念が強まったためである。
その後、イランとイスラエルが相互への攻撃停止を表明したことで、原油は上げ幅を縮小した。北海ブレント先物は1バレル94.25ドル、米WTI先物は91.30ドルで清算された。いずれも前営業日比では上昇したが、序盤の勢いは続かなかった。
金先物は一時の安値から持ち直し、横ばいとなった。米金先物8月限は1オンス4363.4ドルで清算された。6月8日の市場では、中東情勢、米利上げ観測、半導体株の反発が同時に意識され、株式、為替、債券、商品で異なる反応が表れた。