食料品税率1%への引き下げで家計支援を議論
10月19日の参議院予算委員会では、政府が進める食料品の消費税減税について、家計への効果や低所得者向けの支援制度を中心に議論が行われた。高市早苗首相は、税率引き下げによる負担軽減の見通しを説明するとともに、制度の詳細を今後の法案審議などで決定する考えを示した。
政府案は、2027年4月から2年間、食料品に適用される消費税率を8%から1%に変更する内容である。物価高への対応として家計の支出を抑えることを目的としている。
税率の変更に伴う負担軽減額は、機械的な計算では国民1人当たり年間約3万6000円とされる。ただし、国会では減税相当額が実際の販売価格に反映されるかが争点となっている。
減税分の価格転嫁と所得別支援の詳細が焦点に
野党側は、税率が引き下げられても、その分だけ食料品の価格が下がるとは限らないと指摘している。これに対し、高市首相は、減税の効果は基本的に価格へ反映されるとの見方を示した。
政府は、消費税率の引き下げに加え、所得に応じて支援する「就業者負担軽減支援金」の導入も進めている。しかし、具体的な支給対象については明らかになっておらず、野党は対象者の範囲を示すよう求めている。
高市首相は、法案の審議内容や恒久的な財源の確保状況、対象人数の推計を踏まえ、支給開始に間に合うよう政令で定めると説明した。現時点では、支援を受けられる所得層などの詳細は確定していない。
2年後の税率復元と低所得者対策で意見が対立
公明党の秋野参議院政策審議会長は、2年間の減税終了後に食料品の税率を1%から8%へ戻す政府方針について質問した。低所得者への給付を含めた支援制度の全体像が不明確だと指摘し、税負担の逆進性に対応するため、軽減税率を選択肢とする考えがあるかをただした。
高市首相は、消費税が社会保障を支える重要な財源であることについて、国民会議に参加した各党の間で認識が共有されていると説明した。そのため、引き下げ期間が終了した後は従来の税率へ戻す方針を維持した。
公明党の提案については、今後の法案審議で社会保障財源に関する具体的な考えを確認しながら議論するとした。減税終了後の家計支援と社会保障財源の扱いが、引き続き審議の対象となっている。
野党が減税の財源と政府の経済政策を追及
減税に必要な資金の調達方法も論点となった。国民民主党の浜野総務会長は、財源確保のために別の税負担を増やしたり、政府支出を削減したりすれば、減税による経済効果を打ち消すと指摘した。
高市首相は、歳出と歳入の両面を見直しながら、税収の変化も踏まえて対応すると説明した。減税財源は特例公債に依存しない方針を維持しつつ、予算全体の国債発行を一律に排除する考えではないとした。
参政党の神谷代表は、税金や社会保険料を引き下げて国民の可処分所得を増やす政策と、税収を福祉や社会保障として再分配する政策のどちらを重視するのか質問した。
首相は、中低所得者の負担を軽くして手取りを増やし、経済成長と公平な所得分配をともに実現する方針を示した。
減税実施に向け支援対象と財政負担の具体化が課題
政府が掲げる食料品の消費税減税には、年間約5兆円の財源が必要とされる。高市首相は、基金の未使用資金や税外収入、税収の上振れなどを活用し、必要な経費を確保する考えを説明した。
一方、減税と組み合わせる支援金の対象範囲や、制度終了後の低所得者対策については、今後の審議に委ねられている。消費税を社会保障財源として維持する方針と、一時的な負担軽減をどう組み合わせるかも議論の対象である。
政府は予算編成を通じて財源の詳細を示し、支援金については法案審議などを踏まえて制度を整えるとしている。国会では、減税が家計に与える効果に加え、所得別の支援内容や財政負担の具体的な説明が求められている。