AI関連株の調整で浮上した企業価値と投資資金の問題
米国のAI向けクラウド企業コアウィーブの株価急落を受け、日本の株式市場ではAI関連銘柄の評価を見直す動きが広がった。日経平均株価は10月上旬の7万円台から6万5000円を下回る水準まで下落した。
10月15日には3318円安となり、歴代3位の下落幅を記録した。もっとも、19日の東京市場では朝方の売りが一巡した後に下げ幅が縮小し、前週末比407円安で取引を終えた。
市場では、7万円台まで上昇していた株価が企業業績に対して高い水準にあったとの指摘がある。コアウィーブを巡る問題は、投資家が利益を確定する契機になったという見方も示されている。
AI設備投資への懸念と需要拡大の評価が交錯
コアウィーブでは社債利回りが15%台まで上昇し、AIインフラ事業に必要な巨額の資金を継続的に確保できるかが問題となった。信用不安は米国の半導体関連企業にも波及し、日本の主要AI関連銘柄にも影響した。
ただし、資金調達を巡る懸念とAIサービスの需要拡大は別の問題として捉えられている。市場専門家は、今回の株価調整がAI需要そのものの拡大傾向を否定するものではないと分析している。
当面は企業の財務状況や収益性を確認する動きが続く。特に10月22日未明に発表されるメタ・プラットフォームズの決算は、AI投資の継続性を判断する重要な材料として注目されている。
半導体中心の相場からソフトウエア企業にも注目
国内では27年3月期第2四半期の決算発表が10月下旬から本格化する。従来は半導体やAI関連設備を供給する企業が株式市場をけん引してきたが、AIを実際の事業運営に活用する企業にも関心が向かっている。
4月以降の業種別株価騰落率では、半導体などの製造業よりもソフトウエア産業の上昇率が高い。AI技術の導入によって業績を拡大した企業が、株価上昇を支えている。
代表例がリクルートホールディングスだ。同社は前四半期の決算でAIのサービス活用による好業績を示し、株価は半年間で約3倍に上昇した。
一方、ソフトウエア企業の収益構造やAI活用の成果には違いがある。市場では半導体関連への投資集中から、個別企業の業績を重視した選別へと関心が広がっている。
国内物価指標と米中間選挙が株価変動の要因に
日本市場では10月23日に公表される9月の全国消費者物価指数が注目される。東京都区部では物価上昇が加速しており、全国の数値次第で日銀の追加利上げに対する市場の見方が変化する可能性が指摘されている。
現時点では10月の日銀利上げはほとんど織り込まれていない。29~30日の金融政策決定会合では、現在1.25%の政策金利を巡る判断が焦点となる。
米国では11月3日の中間選挙も重要な政治イベントとなる。共和党が上下両院で敗北した場合、トランプ大統領の外交政策に対する警戒が高まるとの分析がある。
議会の勢力構成は今後の政策運営に影響するため、選挙結果も金融市場の変動要因として意識されている。
中間決算の業績評価が日経平均の方向性を左右
市場専門家が示した今後1カ月の日経平均株価の予想レンジは5万9000~7万1000円だ。下落要因としては、コアウィーブの信用問題が他のAI企業へ広がることや、米国の政治情勢が不安定になることが挙げられている。
一方、国内企業の中間決算で業績が市場予想を上回れば、株価を押し上げる材料となる。専門家は、こうした好条件が重なれば日経平均が7万1000円を超えて最高値を更新する展開も想定している。
今後の焦点は、AI関連投資が実際の企業利益にどの程度結びついているかという点だ。半導体関連企業の業績に加え、AIを活用して収益を伸ばすソフトウエア企業の決算が、秋の株式市場を判断する重要な指標となる。