資産運用事業の拡大に向けて相次ぐ買収を実施
米金融大手ゴールドマン・サックスは2026年第3四半期(7~9月期)に資産運用事業の強化を進め、2件の企業買収を実施した。金融市場の取引業務に加え、顧客資産の運用を通じた収益拡大を図る動きが鮮明となった。
同社は上場投資信託(ETF)運用会社NEOSインベストメンツを22億5000万ドルで買収した。さらに、商業用不動産投資を手がけるLCNキャピタル・パートナーズを最大4億1000万ドルで取得した。
これらの買収が行われた四半期末時点で、運用資産残高は4兆1000億ドルとなった。市場予想の4兆1400億ドルには届かなかったものの、顧客資産の純流入額は830億ドルに達した。資産運用事業の規模拡大が続いている。
運用管理手数料が過去最高となり事業収入増加
資産運用・ウェルスマネジメント部門では、運用管理手数料収入が過去最高を記録した。同部門全体の収入は前年同期比14%増となり、ゴールドマン・サックスの業績を支える収益源となった。
同社の2026年第3四半期決算では、総純収入が186億8000万ドルとなり、前年同期から23%増加した。これは過去2番目の高水準に当たる。
純利益は52億9000万ドルで、前年同期の41億ドルから拡大した。1株当たり利益も12.25ドルから17.01ドルへ増え、アナリストの予想を超えた。資産運用部門の増収に加え、市場取引と投資銀行事業の好調が全社の利益を押し上げた。
企業買収市場の回復が投資銀行部門を後押し
企業の合併・買収や資金調達を支援する投資銀行業務でも収益が伸びた。同部門の手数料収入は前年同期比21%増の32億2000万ドルとなり、金融市場全体で取引活動が減速する中でも堅調な実績を残した。
アドバイザリー業務の収入は前年同期から18%増え、過去最高を更新した。決算資料に示された同業務の収入は16億5000万ドルで、市場予想の14億ドルを上回った。
株式引受業務の収入は6億6600万ドル、債券引受業務は9億400万ドルとなった。いずれも市場の事前予想を上回っている。
実際の取引では、インテルやSKハイニックスの大型株式発行を支援したほか、エヌビディアによるメディアテックへの投資案件にも関与した。企業金融に関する幅広い業務が収益増加に寄与した。
株式市場の変動が取引収益を押し上げる展開
市場関連業務では、株式部門と債券部門で異なる結果が示された。株式トレーディング収入は前年同期比72%増の64億4000万ドルに達し、市場予想を大きく上回った。
中東紛争によって金融市場の変動が拡大したことが、株式関連の取引収入を押し上げる要因となった。株式部門は過去最高だった前四半期の収入には及ばなかったが、引き続き高い水準を確保した。
これに対して、債券・為替・商品部門の収入は前年同期比1%減の34億7000万ドルだった。市場予想の37億2000万ドルを下回り、株式部門との差が際立った。
純受取利息は37億7000万ドルとなり、予想の36億1000万ドルを上回った。預金残高は5680億ドル、貸出残高は2760億ドルとなった。
株価上昇の一方で資本市場の懸念が残る状況
10月13日の米国株式市場では、好決算を材料にゴールドマン・サックス株が買われた。米東部時間午前9時33分時点の株価は919.41ドルで、前日から25.46ドル上昇した。
一方、2026年の年初来上昇率は約1.7%にとどまり、株価は同業他社や主要株価指数を下回る推移となっている。利回り上昇が資本市場の取引活動に与える影響への懸念も、株価の上値を抑える要因となっていた。
今回の決算では年率換算ROEが18.7%、有形自己資本利益率(ROTE)が20.5%となった。普通株式等Tier1比率は12.4%で、市場予想の12.6%を下回った。
ゴールドマン・サックスは資産運用会社の買収を進める一方、投資銀行業務や株式取引でも収益を拡大した。第3四半期は、資産運用事業の強化と金融市場関連業務の好調が同時に確認された決算となった。