国保の加入者減少が2024年度決算に反映
2024年度の国民健康保険で、加入者数が前年度から105万人減少し、2204万人となった。厚生労働省が9月9日に公表した財政状況によると、加入者数はこれまでで最も少ない水準となった。75歳以上の高齢者が後期高齢者医療制度へ移ることなどが、国保加入者の減少につながっている。
加入者の縮小は国保の収入基盤を小さくする一方、医療給付に必要な支出も押し下げた。2024年度はこうした変化が決算数字に表れ、実質的な赤字額が前年度から大きく減少する結果となった。
医療給付費は2902億円減の8兆2413億円
国民健康保険から医療機関などへ支払われる保険給付費は、2024年度に8兆2413億円となった。前年度から2902億円減少し、前年比では3.4%の減少だった。加入者そのものが減ったことが、給付費の縮小に影響した。
とりわけ、75歳以上の加入者が後期高齢者医療制度へ移行することは、国保側の人数と給付費の双方を減らす要因となる。2024年度の支出総額は22兆8095億円で、前年度より3.0%減少した。給付費の減少は、国保の実質収支が改善した主要な要因の1つとなった。
赤字は4年連続も前年度から大幅に縮小
自治体による繰入金を除くなどして算出した2024年度の実質収支は、235億円の赤字だった。国保の実質収支が赤字となるのは4年連続となる。ただし赤字額は前年度より1568億円減少しており、マイナス幅は大きく縮小した。
収入全体は22兆9001億円で、前年度比2.1%減少した。支出もそれを上回る割合で減少したため、財政収支の改善につながった。ただし実質ベースでは依然として支出を十分に賄えておらず、赤字状態からの脱却には至っていない。
1人当たり負担増で保険料収入は増加へ
加入者数が減る中でも、保険料収入は2兆4053億円となり、前年度から356億円増加した。保険料収入が前年度を上回ったのは11年ぶりとなる。1人当たりの保険料額が増えたことなどが増収につながった。
一方、保険料納付率は93.99%で、前年度から0.21ポイント低下した。国から国保への支出金は3兆2262億円となり、前年度とほぼ同水準だった。加入者減少によって制度全体の規模が縮小する中でも、保険料や公費によって財政を支える構造が続いている。
高齢者比率の高さ背景に財政安定化を模索
国民健康保険では、65歳から74歳までの加入者が全体の4割以上を占めている。加入者の平均所得が低い一方で、1人当たりの医療費が高くなりやすいことから、財政的に厳しい状況が続いている。加入者が減少して給付費が縮小しても、制度固有の収支上の課題は残る。
2024年度は赤字幅が大幅に縮小し、保険料収入も11年ぶりに増えたが、実質収支は235億円のマイナスだった。厚生労働省は医療費の適正化を進め、持続可能な財政運営を目指すとしている。加入者の減少が続く中で、収入と医療費のバランスをどのように維持するかが引き続き国保運営の重要な課題となっている。