若年層向け安全機能の利用実態が法廷で争点に
米メタ・プラットフォームズを巡る若年層SNS訴訟では、フェイスブックとインスタグラムの設計だけでなく、安全機能が実際にどの程度使われていたかも重要な争点となった。カリフォルニア州オークランドの連邦地裁では、インスタグラム責任者のアダム・モセリ氏や現職・元従業員が証言し、10代向け施策の運用実態が示された。こうした審理が進む中、メタと米29州は和解に入り、最大166億8000万ドルの支払いとサービス変更で合意した。
テイク・ア・ブレイクの低利用率が証言で判明
法廷では、一定時間の利用後に休憩を促す「テイク・ア・ブレイク」機能の初期利用率が注目された。内部資料によると、2021年にこの機能を有効にした10代利用者は1.8%にとどまっていた。モセリ氏は、その後に通知方法などを改善し、最終的にはティーンアカウントの一部で初期設定として有効にしたと説明した。一方、2023年に導入した夜間通知を抑える「クワイエットモード」の利用率は8.7%だったことも審理で明らかになった。元従業員からは、安全機能の利用が伸びず、経営側が十分な改善に踏み込まなかったとの証言も出た。
内部資料と対外的な安全説明の差も追及対象に
州側は、安全施策に関する内部データと外部向け説明の違いも追及した。2021年のブログでは、機能を有効にした10代利用者の90%以上が継続して使用している点が強調されたが、当初の有効化率が1.8%だったことには触れていなかった。さらに、10代が接触する問題のあるコンテンツに関する社内資料を巡り、法的リスクへの配慮から経営側に示すデータを制限するよう助言したとされる内部通信も証拠として取り上げられた。メタ側は、安全対策への無関心との見方を否定している。モセリ氏は、単独の対策で問題を解決するのではなく、複数の施策を重ねる必要があるとの立場を示した。
最大1.4兆ドルの制裁リスクが和解協議の背景
29州は、州の消費者保護法や連邦の児童オンラインプライバシー保護法に違反したとしてメタの責任を求めていた。報道によると、州側は約2000億ドル規模を求める可能性を示し、メタ自身は敗訴時の最大負担を1.4兆ドルと試算していた。裁判は約6週間の予定で、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者も証人として呼ばれる可能性が示されていた。和解成立により、この29州との訴訟は途中で終結し、金銭支払いと10代向け機能の変更へ移行する。メタは不正行為そのものは認めておらず、責任を認定する判決を待たずに争いを終える形となった。
メタ以外にも広がる若年層SNS訴訟の行方
今回の合意で一つの大型訴訟は終わるが、若年利用者を巡るSNS各社への訴訟は残る。メタ、グーグル、スナップ、TikTokは、個人や家族による3000件を超える請求に加え、全米の公立学区から約1300件の訴訟を抱えているとされる。メタに対してはテネシー州でも別の審理が進行している。29州との和解は、法廷で安全機能の実効性や社内対応が問われた末に成立したもので、今後も若年層保護とプラットフォーム設計の責任が主要な争点として続く。