費用便益比1.05で事業継続の妥当性を確認
大阪市内を南北に貫く新線「なにわ筋線」について、関西高速鉄道は総事業費を6425億円とする再試算をまとめた。費用は当初計画から大きく膨らんだものの、投資効果を示す費用便益比は1.05となった。公共事業の判断材料となる1を上回ったことから、事業を続けることは妥当との結論が大阪府と大阪市に示された。大阪市も18日の有識者会議でこの結果を確認し、開業計画を維持する方針を示した。費用面では厳しさが増した一方、整備による便益が費用を上回るとの評価は残った形だ。
想定利用者は24万3000人へ下方修正される
新たな検証では、1日当たりの利用者見込みが従来の26万4000人から24万3000人へ修正された。利用需要の見直しに加え、総事業費が3291億円から6425億円へ拡大したことで、費用便益比は以前の1.49から大きく下がった。それでも1.05を確保したため、大阪市は投資に対する一定の効果が残ると判断した。横山英幸市長は、事業を進めるために必要な数値のラインは維持できたとの認識を表明した。利用者数と費用の両面を見直したうえでも、継続判断そのものは変わらなかった。
大阪の南北軸と空港アクセス向上を改めて重視
なにわ筋線は、JR大阪駅北側からJR難波駅と南海電鉄新今宮駅方面を結ぶ路線で、全長は約7キロとなる。2021年に工事が始まり、完成後は大阪駅から関西空港駅へ乗り換えずに移動できるようになる。新大阪駅と関西国際空港の移動利便性を高める役割も担う。横山市長は、大阪の南北軸をつなぐ戦略上重要な路線だとして、その必要性を改めて強調した。総事業費が増えても2031年の開業時期を据え置いた背景には、こうした路線機能を重視する市の判断がある。
事業費増加を受け府市が精査とコスト削減を要請
4月には、総事業費が6500億円を超える可能性が示されていた。これを受け、大阪府と大阪市は関西高速鉄道に対し、建設費の内容を詳しく確認するとともに、コストを減らす方法を検討するよう求めた。再試算では総額が6425億円となり、増加分は3134億円に上る。資材価格などの影響で工事費単価が1645億円増え、用地費単価も459億円増加した。地価上昇や地中障害物の撤去も費用拡大に影響しており、市の追加負担は最大594億円と見込まれている。大幅増額が避けにくいなかでも、府市は引き続き支出を抑える方策を求める。
開業時期は変えず2031年の完成を目指す方針
大阪市は18日、有識者を交えた会議で費用増加や事業継続上のリスクを確認し、関西高速鉄道にさらなるコスト削減を求めていく方針をまとめた。横山市長は、今後も物価上昇が続けば費用がさらに膨らむ可能性があると説明した。一方で、費用便益比は事業を進める判断基準を維持しているとして、2031年の開業予定を変更しない考えを示した。大阪市は、費用の増加を管理しながら新線整備を継続する。計画当初より高い事業費を前提としつつ、南北交通と空港アクセスを強化する路線として完成を目指す方針だ。