洋上風力発電とAI施設の連携効果に期待高まる
秋田県が整備を進めてきた再生可能エネルギーの基盤を活用し、秋田市に国内最大級のAI向けデータセンターを設置する構想が明らかになった。大規模な電力を消費するデータセンターと、県内で展開されている風力発電事業を組み合わせる計画として注目される。
秋田市の沼谷純市長は、洋上風力発電事業とデータセンターには十分な親和性があるとの認識を示した。施設が整備されれば、再生可能エネルギーを地域内の大規模需要に結び付ける機会となり、市が得られる効果も大きいとしている。
計画は、単独の大型施設を建設するだけでなく、その周辺に関連企業や人材を呼び込む産業政策としての側面も持つ。
最大500メガワットの電力使用量を想定
計画されているAIデータセンターの電力使用量は、最大500メガワットに達する。生成AIを含む高度な人工知能では、大量のデータを処理する高性能コンピューターが必要となり、それらを安定して稼働させるために大規模な電力供給が求められる。
施設の建設費は約2兆円を見込み、AI向けデータセンターとしては国内最大級となる。2030年代前半の稼働を目標としており、候補地には秋田市下新城の県立大学秋田キャンパス南側にある工業団地などが挙げられている。
候補地では、再生可能エネルギー関連産業の受け入れを想定した造成が進行している。電力供給の環境に加え、施設運営に必要となる水資源が豊富であることも、秋田側が示す立地上の利点となっている。
日米のIT関連2社が事業主体として計画推進
構想を進めるのは、秋田市に本社を構えるエスツーと、米国を拠点とするBITGRITの2社だ。エスツーは地域に基盤を持つIT関連企業で、BITGRITはAI分野の事業を手掛けるスタートアップとして計画に参画している。
秋田県の鈴木健太知事と沼谷市長は、エスツーの須藤晃平社長を介してBITGRITの向縄嘉律哉CEOと知り合い、構想に関する協議を続けてきた。自治体と事業者の間では、立地条件や事業化に向けた支援などについて調整が進められている。
鈴木知事は8月6日、最終的な決定ではないとしながらも、企業側との協議から良好な感触を得ていると説明した。県として実施できる取り組みを進め、計画の実現につなげる方針を明確にした。
UAE関係者が秋田を訪れ候補地を視察へ
計画の資金調達を巡っては、UAEを含む海外投資家が出資する方向で話し合いが行われている。約2兆円という大規模な建設費を想定していることから、国際的な投資体制の構築が不可欠となる。
8月19日には、UAEのシハブ・アルファヒーム駐日大使らが秋田県を訪問する予定だ。一行は鈴木知事や沼谷市長と面会し、再生可能エネルギーや水資源を含む秋田の立地条件について説明を受ける。
建設候補地の視察も予定されており、自治体側は現地の環境を直接示しながら、関係者との信頼関係を深める考えだ。沼谷市長も重要な時期に当たるとして、丁寧に意思疎通を図る姿勢を示している。
秋田をAI産業の新拠点へ育てる取り組み
県と市は、データセンター建設に伴う工事需要だけで計画を終わらせない方針だ。鈴木知事は、AIインフラの拠点が秋田に整備される意義を最大限に生かす必要があると強調している。
沼谷市長も、データセンターを起点とした関連産業の集積に期待を寄せる。施設の運用、情報通信、保守管理などの分野で事業機会が生まれれば、地域のIT産業を拡大する足掛かりとなる。
計画は正式決定前の段階だが、再生可能エネルギーの供給力と大規模AIインフラを結び付ける方向性が示された。行政、事業者、海外投資家の協議が進み、秋田を新たなAI産業拠点へ発展させられるかが焦点となる。