SNSの年齢規制を巡り検討を継続
こども家庭庁は7月30日、子どものSNS利用に関する中間報告書案を専門家会合へ提示した。焦点となった一律の年齢制限については、現段階で導入を決めず、引き続き検討する方針を明記した。国内ではSNSが子どもにとって交流や相談の場になっているとの指摘があり、利用を年齢だけで全面的に区切ることには慎重な意見がある。
6月に公表された骨子案では、年齢制限への言及が見送られていた。その後、海外で規制導入や制度検討の動きが広がったため、中間報告書案に継続協議の方針が加えられた。こども家庭庁は、この変更について政策の方向を改めたものではないと説明している。
海外で未成年者の利用制限広がる
海外では、未成年者によるSNS利用を制限する取り組みが相次いでいる。オーストラリアでは16歳未満を対象とする利用禁止策が導入され、フランスでは7月に15歳未満の利用を原則として認めない法案が可決された。欧州連合も子どものSNS利用を抑える方向を示し、韓国では14歳未満を対象とした規制が検討されている。
こうした状況を受け、報告書案は海外制度を参考にしながら議論を続ける必要があると整理した。ただし、各国では法律や利用環境、子どもを取り巻く事情が異なる。日本で同様の制限を設けるかどうかは、国内の実態を踏まえて判断する方針となる。
子どもの居場所としての役割も考慮
一律規制に慎重な背景には、SNSが危険だけをもたらす場ではないという認識がある。子ども同士がつながったり、悩みを共有したりする場所として利用されているため、年齢で全面的に排除すれば、必要な交流機会まで失われるとの意見が専門家から出ている。年齢制限を検討する際には、保護と利用機会の両方を考える必要がある。
一方で、犯罪への巻き込まれ、誹謗中傷、成人向け情報、長時間利用などへの対処は急務となっている。中間報告書案は、利用禁止の可否だけに議論を限定せず、危険を減らす複数の仕組みを組み合わせる考えを示した。子どもの利用実態に応じた保護方法を構築することが基本方針となる。
年齢確認の精度向上を対策に位置付け
報告書案には、SNS利用者の年齢をより正確に確認する仕組みの検討も盛り込まれた。現在は本人が年齢を入力する方式が多く、実年齢と異なる情報を登録できる場合がある。年少者であることを事業者が把握できなければ、子ども向けの安全設定や閲覧制限を適切に適用しにくい。
ただし、確認方法や必要な手続きの内容は示されていない。政府は今後、利用者の年齢を把握する方法と、サービス利用への影響を含めて具体化する。一律禁止を決める前に、年齢に応じた機能制限や保護策を確実に働かせる制度も重要な選択肢となる。
国内事情に沿う保護制度を年内整理
政府は年内に具体的な対応をまとめる予定で、青少年インターネット環境整備法の改正も検討している。最終報告では、年齢制限をどこまで扱うかに加え、年齢確認や事業者の責任をどのように制度化するかが整理される。法改正案は2027年の通常国会への提出が目標となっている。
現時点では、年齢による利用禁止の導入時期や対象年齢は決まっていない。海外の規制をそのまま採用するのではなく、日本の子どもの利用状況とSNSの役割に即した仕組みをつくる方針だ。安全確保と交流機会の維持を両立させる制度設計が、今後の議論の中心となる。