車内で過ごす被災者への支援が課題
熊本県で発生した最大震度7の地震では、多くの住民が自動車内で避難生活を送っている。高市早苗首相は7月29日の非常災害対策本部会議で、車中泊を選ぶ被災者が多数いる状況を踏まえ、燃料供給に支障が生じないよう対応する考えを示した。避難所の外で生活する人も含め、必要な支援を行き渡らせることが政府の課題となっている。
政府は被災地域からの依頼を受けてから動くのではなく、現場で必要になると判断した品物を先行して輸送する。食料品や飲料水だけでなく、衛生用品なども供給対象となる。避難先や生活形態が異なる住民に対し、幅広く物資を届ける体制を構築する。
燃料供給と暑さへの備えを重点化
車内での避難には、移動や冷房の使用に必要なガソリンを安定して確保することが欠かせない。高市首相は関係機関に対し、被災地域への燃料供給に万全を期すよう求めた。政府は車中泊を続ける住民の実態を踏まえ、燃料不足が生活環境の悪化につながらないよう供給体制を整える。
気温が高い時期の災害であることから、熱中症を防ぐ措置も重要視されている。首相は冷房設備を含む避難環境の確保に全力を挙げるよう関係省庁に指示した。停電が続く場所でも機器を稼働させるため、発電機能を備えた車両なども投入する。
冷房機器約300台を航空輸送
政府は暑さへの対応として、簡易型のクーラーや電力供給用の車両を被災地へ送り込んでいる。7月29日午後2時ごろ、冷房機器約300台を載せた航空自衛隊機が入間基地を離陸し、熊本空港へ向かった。避難施設の温度管理を改善し、体調を崩す人を減らすことが目的となる。
生活関連物資の輸送は複数の省庁が共同で進めている。飲食料品やトイレットペーパーなどに加え、断水や停電への対応に必要な設備も準備する。被災者から個別の要望が提出されるのを待たず、政府側で需要を見込みながら供給する。
救助要員増強し給水活動にも対応
被災地で任務にあたる自衛隊は、当初の約3600人から約4600人へ増員された。警察、消防と協力し、倒壊した建物などでの救出や安否確認を進める。小泉進次郎防衛相は、人命に関わる活動を最優先にするとともに、住民の暮らしを支える作業にも全面的に取り組むと説明した。
隊員は捜索活動と並行し、給水をはじめとする支援を担う。停電や断水が確認されている地域では、救出後の生活を維持するための対応が必要になる。政府は人的態勢を拡大することで、緊急性の高い現場と避難生活の双方を支える。
現地ニーズ把握と復旧財源を確保
政府は津島淳内閣府副大臣を団長とする調査団を送り、地方自治体との情報共有を強めた。調査団は被害状況に加え、避難所や車内で生活する住民が必要としている物資を確認する。現地で集めた情報を輸送計画や各機関の配置に生かす。
被災自治体が早期に復旧事業へ着手できるよう、普通交付税を予定より早く渡す手続きも進める。自民党は緊急の幹部会合を開き、政府や自治体の救助、生活援助、復旧作業を支える方針を確認した。一方、政府はネット上で流通する虚偽の災害情報に注意し、公的機関など信頼できる発信元を確認するよう住民に求めている。