連合が賃金の持続的な上昇へ中期計画を策定
連合は10月22日に発表した2027年春闘の基本構想で、2030年までに賃金水準を現状から約15%引き上げる中期的な目標を新たに設定した。
従来の春闘では、翌年度の賃上げ率を中心に要求方針をまとめてきたが、今回は複数年にわたる賃金改善の方向性も明示した。
2027年の要求については、定期昇給分を含めて6%を中心とし、5%以上を最低限の水準として掲げる。
連合は、国際的に比較した日本の賃金水準が依然として低い状況を踏まえ、企業に対して従業員への積極的な投資を求めている。
物価上昇を上回る実質賃金の改善を重視
今回の方針では、賃金の増加率だけでなく、物価変動を考慮した購買力の改善にも重点が置かれた。連合は日本全体の実質賃金について、少なくとも年間1%以上の改善速度を維持する必要があると指摘している。
実質賃金は、給与額の変化から物価上昇による影響を除いた指標である。名目上の給与が増えても、物価がそれ以上に上昇すれば、実際に購入できる商品やサービスの量は減少する。
ここ数年の高水準の賃金改定を受け、足元では実質賃金がプラスに転じている。ただし、海外の主要国では賃金が毎年1〜2%程度上昇しており、日本との比較では引き続き課題が残る。
連合は生産性の向上を進めながら、実質賃金の改善をさらに加速させる必要があるとしている。
大企業と中小企業の賃金上昇率に残る差
国内の賃金改善を進めるうえでは、企業規模によって異なる賃上げの実態も課題となっている。2026年春闘では、全体の平均賃上げ率が5.01%となった一方、中小労働組合では4.69%だった。
月額の引き上げ額を比較すると、全体平均が1万6400円だったのに対し、中小組合は1万2866円にとどまった。
連合はこうした差を縮めるため、組合員数300人未満の労働組合について、2027年も6%以上の賃金改善を求める方針を示している。
企業規模による違いに加え、製造業と非製造業などの産業間にも賃金格差が残っている。大企業だけでなく、幅広い事業者で賃金が上昇する環境を整えることが求められている。
賃金と物価の関係が金融政策にも影響
2027年春闘の結果は、企業の給与改定にとどまらず、日本銀行の金融政策を判断する際にも重要な材料となる。
日銀は物価上昇率2%の安定的な達成を目標としており、給与と物価が継続的に上昇する経済環境を重視している。
2024年から2026年までの春闘では、平均賃上げ率がそれぞれ5.10%、5.25%、5.01%となり、3年続けて5%台を維持した。
ただし、賃上げ率が高水準を記録しても、すべての企業や産業で同様の改善が進んでいるわけではない。
連合が掲げる中期目標では、実質賃金の改善と国内全体の生産性向上を組み合わせ、持続的な所得増加につなげる考えが示されている。
2027年春闘で問われる賃金改善の広がり
連合は年内に2027年春闘の正式な方針を決定し、各産業別組織や個別企業の労働組合が具体的な交渉内容をまとめる予定だ。
今回の基本構想では、従来から掲げてきた5%以上の要求を最低水準として整理し、6%を中心的な目標に設定した。
さらに、2030年までに約15%の賃金上昇を実現するという中期的な方向性も明らかにした。
2027年の交渉では、大企業や製造業が形成する賃上げ水準が、中小企業や非製造業にどこまで波及するかが焦点となる。単年度の賃上げ率に加え、企業間の格差縮小と実質賃金の継続的な改善が重要な課題となっている。