好決算の裏で運用課題が拡大
生命保険大手4社の2026年3月期決算では、金利上昇や株高を背景に収益が大きく伸びた。日本生命、明治安田生命、住友生命の3社は、基礎利益で過去最高の水準に達した。保険販売と資産運用の両面で追い風を受けたことが、決算全体を押し上げた。
一方で、金利上昇は保有債券の価格下落を伴う。各社が運用する国内債券では含み損が拡大し、4社合計で14兆円を上回った。収益拡大と債券評価損の増加が同時に進んだ点が、今回の決算の大きな特徴となった。
貯蓄型保険の販売が伸長
金利の上昇により、貯蓄型保険商品などの販売が伸びた。保険料等収入は4社すべてで増収となり、生命保険各社の営業面を支えた。日本生命では保険料等収入が前期比20.0%増の9兆4373億円となり、販売好調が鮮明になった。
基礎利益では、日本生命が前期比28.8%増の1兆3016億円を計上した。明治安田生命は13.9%増の7602億円、住友生命は2.8%増の4081億円だった。3社はいずれも過去最高の基礎利益を記録し、金利環境の変化が収益面で大きく作用した。
株式配当と海外事業が支援
株高による配当金の増加も、大手生保の利益を押し上げる要因となった。株式市場の上昇は、保険会社が保有する株式からの収益拡大につながった。保険販売だけでなく、運用収益の改善も今回の好決算を支えた。
日本生命は、買収済みの米国グループ会社が利益拡大に寄与した。海外部門の収益が基礎利益を押し上げ、国内事業に加えて海外展開も業績を支える要素となった。これに対し、第一ライフグループは海外子会社で保険金の支払いが増加し、基礎利益は2.4%減の6294億円となった。
国内債券の評価損が膨らむ
債券市場では、日本国債の価格が下落した。これにより、大手生保各社の国内債券の含み損は拡大した。2026年3月末時点で、日本生命は5兆7290億円、第一生命は3兆8023億円、明治安田生命は2兆1618億円、住友生命は2兆3897億円の含み損を抱えた。
4社合計の含み損は14兆円を超えた。金利上昇は貯蓄型保険の販売や将来の運用利回りにはプラスとなる一方、既に保有する債券の評価にはマイナスに働く。生保各社にとって、国内債券をどのように管理するかが重要な課題となっている。
収益強化と資産管理が焦点
日本生命の赤堀直樹副社長は会見で「金利上昇は大変急激」と述べ、価格下落が見込まれる国内債券の保有を減らす考えを示した。明治安田生命の上田泰史専務も「金利の上昇は収益面ではプラスの影響が大きいが、先行きの不透明感も増しているので、運用する国債を入れ替えるなど適切な対応を取っていきたい」と説明した。
今回の決算では、3社が過去最高益を記録し、保険料等収入も4社すべてで増えた。だが、国内債券の含み損拡大は運用面の課題として残る。今後の生命保険業界では、金利上昇を収益に取り込みながら、国債運用のリスクを抑える対応が問われる。