民間在庫243万トンで米価下落が一段と鮮明
2026年のコメ市場では、前年の高値から一転して供給過多が目立っている。民間業者が保有する在庫は6月末時点で243万トンに達し、これまでで最も多い水準となった。2025年産米の価格上昇によって消費が弱まったことに加え、豊作も重なり、販売価格を押し下げる状況が続いている。新潟県内では新米コシヒカリが5キロ3000円前後で販売され、新潟市中央区の直売所では税込み2678円と、前年の4946円から大幅に下がった。全国のスーパーでも平均価格は9月6日までの1週間の3003円から、翌週には2971円へ低下している。
資材費上昇が続き生産コストとの逆転が拡大
店頭価格の低下とは対照的に、生産現場の負担は軽くなっていない。魚沼コシヒカリを中心に約20ヘクタールを耕作する高橋陽一氏によると、肥料や農薬、農業機械などの価格上昇が続き、資材費は前年より約1割増えた。販売価格が定まらない中でも、農家は秋の収穫まで生産を続ける必要がある。コメ販売業者などでつくる業界団体は、玄米60キロ当たりの生産費を2万535円と算定しており、受取額がこの水準を下回れば収益の確保が難しくなる。
JAの仮渡し金減額に地域独自の上乗せ対応
JA全農にいがたが8月中旬に示した2026年産米の仮渡し金は、主要銘柄で前年から大きく引き下げられた。一般コシヒカリは60キロ3万円から1万8500円、新之助は3万1000円から1万9000円となり、魚沼コシヒカリも1万1500円減の2万1000円となった。新米の契約が進みにくい販売環境を反映した措置である。これに対しJA魚沼は、魚沼コシヒカリの仮渡し金に独自に500円を加算することを決めた。持ち出しは総額約1億7000万円となる見込みで、生産者の負担を少しでも和らげる対応を取っている。8月の生産者懇談会では、JA魚沼側が60キロ2万1500円で承認を得たうえで、販売努力を続けて追加払いを目指す方針を示した。
採算割れ長期化で離農と将来の供給不安浮上
仮渡し金が60キロ2万円未満となる地域も多く、生産費の試算値との差が問題となっている。9月8日に新潟市で開かれた新潟米懇談会では、卸売業者から、この状態が続けば農業から離れる生産者が増えるとの懸念が示された。さらに、中長期的には作り手の減少が新たなコメ不足につながることを心配する意見も出ている。価格低下が消費者の負担を軽くする一方で、供給を担う側の採算が悪化するという異なる課題が同時に表面化している。
農家は持続可能な価格水準への早期回復求める
7月に新潟市議会農政議連と新潟大学が新潟市内の農家らに実施した調査では、経営を続けるために必要な業者向け販売価格として、60キロ約2万5000円前後を挙げる回答が多かった。これは一般コシヒカリの2026年産仮渡し金1万8500円より3〜4割高い。全国のスーパーでの平均価格は9月13日までの1週間に5キロ2971円となり、5週連続で低下した。消費段階では値ごろ感が戻る一方、農家側では販売収入と上昇する経費の差をどう埋めるかが焦点となっている。高橋氏は、次年度以降も厳しい状況が続くとして、生産を継続できる価格への早期の接近を求めている。