信託報酬ゼロを掲げ子ども向け口座を開拓へ
2027年1月に始まる「こどもNISA」を前に、SBI証券が18歳未満を対象とした新たな投資信託を投入する。名称は「SBI・ゼロ・オールカントリー・インデックス・ファンド」で、信託報酬は年0.00%。「ゼロカン」の愛称を付け、長期間の積立を想定する子ども向け制度でコストの低さを打ち出す。
こどもNISAでは年間60万円、合計600万円まで非課税で投資できる。制度開始時点では対象となる子どもが新たに口座を選ぶことになるため、証券会社にとって新規顧客を獲得する機会となる。SBI証券は専用ファンドを用意し、口座開設につなげる構えだ。
既存低コスト投信との差は18年間で数万円
信託報酬0%は長期投資におけるコストを減らす一方、既存の低コスト投信との差は積立条件によって限定的となる。年率5%で18年間運用する試算では、月1万円を積み立てた場合、信託報酬0%では18歳時点で約347万円となる。信託報酬0.05775%の商品では約345万円となり、差は約2万円だ。
月3万円を同じ条件で積み立てた場合は、0%の商品が約1040万円、0.05775%の商品が約1034万円となる。両者の差は約6万円となり、積立金額が大きくなるほど金額差も拡大する。既存の商品も信託報酬が低水準にあるため、0%にすることによる差は一定の範囲にとどまる。
購入対象はこどもNISAの積立枠に限定
ゼロカンは誰でも購入できる一般的な投資信託ではなく、こどもNISAのつみたて投資枠に限定して提供される。大人向けNISAや課税口座では購入できない。販売会社も10月1日時点ではSBI証券だけとなっている。
投資対象は世界の株式で、MSCI ACWIの配当込み、円ベースへの連動を目指す。幅広い国・地域の株式へ分散する全世界株式型のインデックスファンドとなる。ファンドは11月17日に設定され、こどもNISAが始まる2027年1月に合わせて購入できるようにする。
信託報酬以外の費用はゼロの対象外に
商品名には「ゼロ」が掲げられているものの、投資に関連するすべての費用が0円になるわけではない。無料となるのは、運用会社や販売会社、信託銀行の取り分となる信託報酬だ。監査報酬やファンド内部で株式を売買する際の委託手数料などは別途必要になる。
また、18歳以降の取り扱いにも条件がある。それまでに購入したゼロカンは信託報酬0%のまま保有を継続できるが、成人後に同商品へ新たな積立を行うことはできない。同じ投資対象で積立を続ける場合は、信託報酬0.055%の「SBIオールカントリー」が選択肢となる。
商品コストと口座管理が制度利用の焦点に
こどもNISAは子どもの資産を長期間にわたって形成する制度であり、金融機関との関係も長く続くことになる。ゼロカンは信託報酬をなくすことで、長期保有時に積み上がる管理費を削減する特徴を明確にした。既存の低コスト商品との金額差だけでなく、利用できる口座や年齢などの商品条件も異なる。
子どもの口座をどの金融機関で管理するかも制度利用に関わる要素となる。ゼロカンを利用するにはSBI証券でこどもNISA口座を開設する必要があり、18歳以降は本人管理の口座へ移行する。新制度の開始を前に、低コスト商品と口座サービスを組み合わせた証券会社間の顧客獲得競争が本格化している。