AI普及でデータセンター向け電力需要が拡大
生成AIの利用拡大を背景に、データセンターを稼働させるための電力や関連インフラへの投資が広がっている。こうした市場環境のなか、ソフトバンクグループとOpenAIが出資する米SBエナジーは9月1日、米国で新規株式公開(IPO)を申請した。
太陽光発電や蓄電池事業を展開してきた同社は、デジタルインフラ分野への取り組みを強化している。AI向けデータセンターの建設だけでなく、その稼働を支える大規模な発電設備まで事業対象を広げている。
オハイオ州で大規模な天然ガス発電所を開発
SBエナジーはオハイオ州で9.2ギガワット規模の天然ガス発電所を開発している。同設備は、大量の電力を消費するAIデータセンターへの供給を担う予定となっている。
同社は太陽光発電と蓄電池の資産も保有しており、複数の電力関連事業を展開している。AI向け計算設備が増えるにつれて安定した電力供給が重要となるなか、発電能力そのものをデータセンター事業と組み合わせる形で事業基盤を拡張している。
テキサス州ではOpenAI向け施設を整備
テキサス州では、OpenAI向けデータセンターを建設、運営する計画が進められている。ソフトバンクGとOpenAIは2026年に入り、SBエナジーへそれぞれ5億ドルを出資することで合意しており、その資金が施設整備に充てられる。
また、オハイオ州でも大規模なデータセンター建設が予定され、OpenAIが顧客となる。AIサービスを支える計算能力の確保と、施設を稼働させるための電力供給を組み合わせたインフラ整備が進行している。
ソフトバンクGなどが大型投資で成長を支援
SBエナジーにはソフトバンクGとOpenAIのほか、米投資運用会社アレス・マネジメントも出資している。事業拡大に伴い必要となる資金も増加しており、IPOは新たな調達手段を確保する取り組みとなる。
2026年1~6月期の売上高は1億3900万ドル(約222億円)で、前年同期の8300万ドルを上回った。一方、純損失は前年同期の2億1600万ドルから32億ドルへ拡大した。大規模なインフラ投資を進めるなか、事業成長と資金需要が同時に膨らんでいる。
電力とデジタルインフラの一体拡大を目指す
IPOではナスダックのグローバル・セレクト・マーケットとナスダック・テキサスへの上場を予定し、ティッカーは「SBE」となる見込みだ。JPモルガン・チェースやゴールドマン・サックス・グループ、モルガン・スタンレー、シティグループ、みずほが主幹事を務める。
UBSグループのアナリストらは、データセンターを中心とした電力不足を補うために必要な投資額が2030年までに5110億ドルに達すると予測している。SBエナジーについては企業価値が500億ドル(約8兆円)を超える可能性も報じられている。AI向け電力需要が拡大するなか、同社はIPOを通じて発電とデジタルインフラの双方を拡充するための体制を整えている。