9人が死亡した八代工場の煙突倒壊を専門家が検証
日本製紙は、7月の熊本地震で八代工場の煙突が倒壊し、従業員ら9人が死亡した事故を受け、被害調査委員会を設置した。委員会は地震工学や構造工学に詳しい専門家など5人によって構成される。事故が発生するまでの経緯や煙突が倒れた原因について、科学面と技術面の両方から検証を行う。工場では地震発生後も被災設備への対応が続いており、安全確保と復旧を進めるためにも原因を明らかにする作業が進められる。
来年3月までに検証を終え安全対策へ反映する方針
日本製紙は、委員会による調査を来年3月までに終了させることを目指している。検証によって得られた結果については、今後の安全対策だけでなく、八代工場の復旧計画にも取り入れる考えだ。工場では煙突の倒壊という重大な被害に加え、その後に行われた解体作業の最中にも火災が発生している。こうした状況を受け、会社は専門家による調査を進めながら、被災設備への対応方法を整理することになる。現在、工場の運転再開時期は決まっていない。
地震で被害を受けた3本の煙突は順次撤去する方針
八代工場には5本の煙突が設置されており、そのうち3本が7月の地震によって被災した。1本が倒壊して9人が死亡し、残る2本にも損傷が確認されている。日本製紙は、解体中に火災が発生した煙突について撤去作業を進めている。また、ほかの被災した煙突についても、新設した委員会による調査などを踏まえて撤去する考えだ。事故原因を調べる作業と、危険が確認された設備を取り除く作業が並行して進められることになる。
損傷が見られない煙突も周辺施設への影響から撤去へ
会社は、外から見た限り損傷が確認されていない高さ110メートルの煙突についても撤去する方針を決めた。この設備は1993年に建設され、被災した別の煙突と同じ強化プラスチックが使用されている。さらに近隣にはJR九州の駅や線路があり、倒れた場合には鉄道施設へ影響する可能性がある。日本製紙はこうした設備の素材と周囲の立地条件を考慮し、損傷の有無だけを基準とせず撤去対象に加えた。被災後の安全対策を工場周辺まで含めて進める形となった。
原因究明と設備撤去を進め工場復旧への対応を継続
一方、外観上問題が確認されていないもう1本の煙突は比較的新しく、今回撤去する設備とは素材も異なる。日本製紙は、この煙突については現段階で取り壊す予定はないとしている。八代工場では地震による倒壊事故と、その後の解体作業中の火災が発生し、操業を再開できる時期は見通せていない。今後は専門家5人による調査を進めるとともに、被害を受けた設備や周辺への影響が懸念される煙突の撤去を進める。来年3月までを目標とする検証結果を安全対策と復旧計画につなげることが、事故後の対応の中心となる。