国連報告書が各国に対策の上積み迫る
国連環境計画(UNEP)は9月2日に公表した報告書で、世界各国に地球温暖化対策の一段の強化を求めた。産業革命前からの世界平均気温の上昇幅は今後数年以内に1.5度を超えると予測されており、現在の取り組みだけでは抑制が不十分だとしている。気温上昇を抑えるため、化石燃料からの転換や再生可能エネルギーの利用拡大などを今後10年以内に進める必要があると指摘した。
各国の削減目標達成だけでは1.5度超える予測
パリ協定では、参加する各国や地域が温室効果ガスの排出削減目標を策定し、気温上昇を1.5度に抑えることを目指している。報告書によると、各国がこれらの目標をすべて実行し、さらに21世紀半ばごろに世界全体で排出量を実質ゼロにした場合でも、平均気温は約1.8度上昇するとみられている。現在掲げられている削減策を達成するだけでは、1.5度以内に収めることが難しいとの分析が示された。
対応進まなければ2100年に約2.6度上昇
現行政策のまま温暖化対策が進んだ場合、世界平均気温は2100年までに約2.6度上昇する見通しだ。こうした気温上昇は、極端な気象現象の増加をはじめ、災害や健康への被害を深刻化させる要因となる。海面上昇が加速すれば、小さな島では水没の危険性も高まる。自然環境や生態系への影響も拡大するとされ、気温上昇の幅を抑えることが国際社会の課題となっている。
1.5度超過の期間短縮を新たな重要課題に
UNEPは、気温上昇が1.5度を超えること自体だけでなく、その状態がどれだけ長期間続くかが重要だとしている。1.5度を上回った場合でも、温室効果ガスの排出量を十分に削減すれば、その後に気温を低下させることは可能との見方を示した。このため、超過する期間を最短にし、気候変動による被害をできる限り抑えることが求められる。今後の取り組みの速度が、将来の気温上昇幅を左右することになる。
化石燃料からの転換を巡り国際社会に対応要請
UNEPは、今後10年以内に迅速で持続的な対策を実行する必要性を強調している。具体的には、化石燃料への依存を減らすとともに、再生可能エネルギーへの移行を加速させることなどを求めた。インガー・アンダーセン事務局長は、気候変動への対応を諦めるべきではなく、今こそ取り組みを強める必要があると訴えた。グテレス国連事務総長も、パリ協定で掲げた約束の達成が厳しくなっているとの認識を示している。世界の気温が1.5度を超えるとの予測が現実味を増す中、各国が排出削減をどこまで加速できるかが問われている。