一連の報道を受け秘書が経緯を文書化
高市早苗首相の事務所は7月22日、中傷動画と暗号資産に関する報道を受け、秘書の見解や対応経過を記した陳述書を衆院予算委員会に提出した。書面は同日の理事懇談会で与野党に示され、動画作成への関与の有無に加え、関係者との接点やSNS上の投稿に至った経緯も明らかにされた。
秘書は、中傷を目的とした動画の制作や配信に関与したとの見方を否定している。しかし、動画を作ったとされる男性が参加したオンライン会議への出席や、暗号資産に関係する投稿の拡散は認めた。全面的に接点を否定するのではなく、個々の行為に対する当時の認識を示す内容となっている。
メール報道と秘書側の説明に隔たり
週刊誌は、衆院選の期間中に動画制作の依頼や、完成に対する謝意を示す連絡が交わされたと報じていた。これに対し、秘書は陳述書で、そのようなメールやショートメッセージは自身の記録から発見されていないと説明した。連絡を行ったとの記憶もないとしており、報道された内容とは異なる立場を示している。
また、他候補を攻撃する映像を自ら制作したことも、第三者に作らせたこともないとした。問題視されている動画については、一度も見ておらず、存在そのものも認識していなかったという。制作の依頼、内容の確認、公開への関与のいずれも否定する説明となった。
制作者とされる男性との接点を説明
秘書は、2025年10月の自民党総裁選前に、SNSに詳しい人物を紹介され、オンライン形式の会議に参加したことを認めた。紹介者は秘書が信頼する学者だったとされる。ただし、その会議で選挙用動画の制作や発信を依頼した事実はないとしている。
動画制作者とされる男性について、高市首相から確認を受けた際には、面識のない人物だと報告したという。秘書は、事務所へ連絡してくる多数の人物を一人ずつ記憶することは難しく、この男性についても個人的な関係はなかったと説明した。総裁選の広報活動は別の企業3社に委託しており、男性は契約先に含まれていないとした。
暗号資産と知らず投稿を拡散したと説明
暗号資産「SANAE TOKEN」を巡っては、発行や売買が行われることを事前に知らされていなかったと主張した。高市首相側が計画を承認した事実についても否定している。首相の名前を使った暗号資産であっても、事務所が企画や運営に携わったものではないとの説明である。
ただし、関連アカウントから示された文章をSNS上でリポストしたことは認めた。秘書によると、送られてきた文章には暗号資産であるとの説明がなく、アプリを紹介する内容だと受け止めていた。十分な確認を行わないまま依頼に従って投稿を広めた経緯を明らかにした。
国会審議で説明の整合性が焦点に
衆院予算委員会では7月24日、高市首相が出席する3時間の集中審議が実施される。陳述書に記された内容と、これまでに伝えられた報道との違いが質問の対象となる。オンライン会議の目的や連絡記録の有無、SNS投稿を拡散する際の確認体制などが主要な確認事項となる。
中道改革連合の長妻昭氏は、秘書を参考人として招致し、本人から直接説明を聴くよう求めた。国会閉会後にも追加の集中審議を開くべきだとの考えを示している。陳述書は事務所側の認識を整理した資料となるが、双方の説明が異なる点については、国会での質疑を通じた検証が続く。