物流現場で深刻化する運転手確保への新対応
運送業界でドライバー不足への対応が課題となる中、福山通運が採用できる人材の範囲を広げる取り組みに乗り出した。9月14日、普通自動車免許だけで扱える小型配送車36台を新たに配備した。
採用したのはいすゞ自動車が開発した「エルフミオ」で、従来の配送用トラックで求められることのある準中型以上の免許を必要としない。福山通運は外国人をはじめ、女性や別の業界から運送業への転職を考える人材の活用を想定している。運転資格の条件を変えることで、人員確保につなげる取り組みとなる。
車両総重量3.5トン未満で積載量も確保
エルフミオは車両総重量が3.5トン未満となるよう設計されており、普通免許の保有者が運転できる。軽量化を図りながら約1.1トンの最大積載量を持たせ、配送業務に必要な能力も確保した。
コンパクトな車体も特徴で、道路幅が限られる場所を含めた配送への利用が想定されている。福山通運は主として東京都内で行う集配に投入するほか、中距離や近距離の輸送にも活用する方針だ。免許の取得状況に左右されにくい車両を配置することで、新たな人材を現場へ送り出しやすくする。
特定技能の外国人ドライバー育成を本格化
福山通運は国内の人材だけでなく、特定技能制度を利用した外国人運転手の確保にも取り組んでいる。インドネシアから秋までに30人を受け入れる予定で、配送業務に必要な訓練を進めている。
外国人は母国で取得した運転免許を日本の免許へ切り替えた上で、会社の教育を受けることでエルフミオを担当できる。6月に来日したインドネシア人ドライバーのクソロさんも、普通免許で運転できることが自身や将来日本で働く人にとって就労しやすい環境につながるとの認識を示した。会社側は10月ごろから1人での乗務を開始することを目標としている。
大型免許取得前でも配送業務への配置可能に
運送会社が新しい人材を採用しても、使用する車種によっては追加の運転免許が必要となり、すぐに配送業務へ配置できない場合がある。今回の取り組みでは、その資格面の障壁を小さくすることが重要な狙いとなっている。
福山通運の桑本聡常務執行役員は、外国人運転手について、日本の免許への切り替えと社内研修を完了すれば早期に乗車可能になると説明した。人材の育成期間と実際の乗務開始までの流れを簡素化し、採用した人員を配送現場へつなげる。普通免許保有者を対象にできることから、外国人以外の採用でも活用できる。
車両と採用の両面から配送体制維持へ対応
物流業界では運転手不足に伴う輸送能力の低下が課題となっている。福山通運はこれまでの採用対象に加え、外国人や他業種からの転職者などにも間口を広げ、必要なドライバーを確保する方針を進めている。
今回の36台は、車両そのものを増やすだけではなく、運転できる人の条件を広げるために導入された点が特徴となる。普通免許を持つ人材が配送を担当できれば、準中型以上の資格を持つ人だけに採用対象を限定する必要がなくなる。福山通運は新たな車両と人材育成を組み合わせ、物流現場で続く人手不足への対応を進める。