パワーGXで供給安定と脱化石燃料の両立を推進
政府は26日、エネルギーの安定供給と脱化石燃料を同時に進める新たな包括策をまとめた。高市早苗首相がGX実行会議で示した「エネルギー需給構造強靱化総合パッケージ」は、中東情勢の混乱を受けた短期対策に加え、国内のエネルギー自給率を高める中長期施策も盛り込む。供給途絶への備えを強化しつつ、原子力や再生可能エネルギーの活用を進めることで、輸入化石燃料への依存を縮小する方針だ。中東情勢悪化後の半年間に進めてきた対策を束ね、足元の供給不安への対応と将来のエネルギー構造転換を同じ政策枠組みで扱う。
原発と次世代太陽電池でエネルギー自給率向上
中長期策では、原子力発電の積極的な活用と次世代太陽電池への投資を進める。政府は国内で確保できるエネルギー源を増やし、海外情勢の変化が日本の供給に与える影響を抑える考えだ。再生可能エネルギーの導入を促しながら、原発も活用することで、需給両面から体制を強化する。高市首相は世界のエネルギー構造が変化しているとの認識を示し、国民生活と経済活動を守るための政策を進める姿勢を強調した。国内で確保できる供給源を増やす方針は、輸入ルートの多角化と並ぶ今回の施策の柱となる。
中東依存を抑える原油調達の多角化を本格推進
一方、当面の原油確保では、中東地域に集中してきた調達構造の見直しを進める。情勢悪化前、日本の原油輸入はUAEとサウジアラビアの2カ国で約8割を占めていた。ホルムズ海峡の封鎖後は、サウジアラビア西岸のヤンブー港やUAE東部のフジャイラ港へつながるパイプラインが代替経路として使われている。政府はこうした海峡を通らないルートを増やし、特定海域の状況に左右されにくい調達体制を整える。主要供給国からの輸入を続けながら、積み出し経路を複数持つことで、海峡封鎖時にも原油を日本へ運べる選択肢を確保する。
海峡回避を支える資金と制度の一体整備を加速
代替ルートを支えるため、政府は供給国のパイプライン新設や増強に必要な資金を支援する。支援はエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)を通じて行う方向で、輸送経路そのものの能力向上を後押しする。また、迂回によって輸送日数が伸び、コストが増えた場合には、石油元売りなどの輸入事業者に交付金を出す制度を設ける。原資は輸入事業者の相互負担とし、国際情勢悪化時でも国内で輸送保険を確保できる仕組みの整備も検討する。
年末までに戦略具体化し必要な法改正も検討
石油関連の備えとしては、流通過程で不足が指摘されたナフサへの対応も盛り込まれた。ナフサ用途として利用できる分を確保する形で原油を国家備蓄し、供給が滞った際の対応力を高める。政府は今回の包括策を基礎に、年末までに施策をさらに具体化する戦略をまとめる方針だ。実施に必要な場合は法改正も進め、短期の供給安定策と中長期のGX政策を一体的に展開する。原油輸送の迂回支援から国内電源の強化までを一続きの政策として位置付け、需給構造全体の強靱化につなげる。