海峡開放期待から一転、原油先物に買い戻し強まる
6日の国際原油市場では、中東情勢を巡る見方が大きく変化した。米国産WTI原油先物の9月物は前日比2.07ドル高の1バレル=77.29ドルとなり、4営業日ぶりに上昇した。北海ブレント先物も3.83%高の82.49ドルまで値を上げ、主要な原油指標がそろって反発した。
直前まで市場では、ホルムズ海峡の開放に向けた交渉が進展するとの期待が強かった。供給が増えるとの見方から原油価格は下落していたが、イラン側の新たな動きが伝わったことで相場の流れが反転した。
米国とイスラエルの船舶対象に通航禁止を検討
イランの議会委員会では、敵対関係にある国と関連する船舶のホルムズ海峡通航を規制する草案が審議されている。報道によると、米国とイスラエルの船舶に対しては通航を全面的に禁止する内容が含まれている。
さらに、その他の敵対国に属する船舶についても無条件で航行を認めるのではなく、補償金の支払いを求める案が示されている。違反した場合には、積載する貨物価値の最大20%に当たる罰金を科す規定も検討されているとされる。
オマーン仲介の交渉進展期待が急速に後退
8月2日には、イラン当局者がオマーンを仲介役とするホルムズ海峡開放交渉について「最終段階」に入ったと説明していた。この情報を背景に、米国とイランが合意に近づいているとの見方が市場で広がっていた。
WTIはその後、前週末の水準から一時11%を超えて下落した。海峡を通じた原油輸送が安定し、市場への供給が増えるとの予想が売り材料となったためだ。しかし通航規制案が改めて報じられたことで、両国間には依然大きな隔たりがあるとの認識が強まった。
世界的な原油輸送の要衝だけに規制動向へ注目集中
ホルムズ海峡はペルシャ湾岸の産油国と世界市場を結ぶ重要な海上輸送路だ。サウジアラビア、イラク、クウェートなどの原油輸出で利用され、2025年上半期には日量2090万バレルが同海峡を通過した。
これは世界の石油消費量のおよそ2割に当たり、海上輸送される原油の約4分の1に相当する規模とされる。そのため、実際に航行が停止していない段階でも、規制強化や通航条件の変更につながる政治的な動きが伝われば、供給への警戒から価格が大きく動く構造となっている。
武力衝突と外交交渉の双方が原油相場を左右
市場ではイラン議会の動きに加え、フーシ派による攻撃も供給不安を強める要因となった。5日にはサウジアラビアの石油タンカーへのミサイル攻撃が伝えられ、6日にはイエメン国内の軍事拠点への攻撃も報じられた。
海峡開放を巡る外交協議が続く一方で、周辺地域では軍事的な緊張も続いている。6日の原油反発は、供給増加への期待だけでなく、航路規制や武力衝突を含む中東情勢全体を市場が改めて織り込み直した動きとなった。