AI加工画像の投稿企画が問題に
写真加工アプリ「SNOW」を紹介するSNS企画を巡り、インフルエンサーらの投稿がステルスマーケティングと認定された。消費者庁は8月6日、アプリを展開する「Snow Corporation」と「SNOW Japan」に対して措置命令を出した。企業が依頼した宣伝であるにもかかわらず、投稿から広告であることを判別できなかったためだ。
対象となった企画では、SNOWで作成した加工画像とともに、AI生成画像を試したことを伝える文章がXへ掲載された。投稿は、話題になっている機能をインフルエンサーが個人的に利用し、その結果を共有したような形式だった。しかし実際には、アプリの運営側が発信者を選び、投稿を働きかけていた。
インフルエンサーなど計72人が投稿
2社が投稿を依頼した時期は2025年4月で、参加したインフルエンサーらは合計72人に上った。発信者には、SNOWを使って加工した画像を作成し、指定された趣旨の文章と合わせてXで公開することが求められた。複数のアカウントから同時期に関連投稿を発信する宣伝手法が用いられた。
掲載された文章には、流行しているAI生成画像をSNOWで試したとする内容や、同アプリを利用したことを強調する表現が含まれていた。投稿だけを見れば、発信者が自ら話題のサービスを見つけて紹介したように受け取れる構成だった。運営企業が宣伝を要請した事実については、閲覧者に伝わる記載が設けられていなかった。
投稿報酬は電子ギフト券で支給
投稿者には、協力への対価として電子ギフト券が提供されていた。金額は数千円から数万円の範囲で、企業側が依頼した内容をSNSへ掲載することで受け取れる仕組みだった。金銭に相当する利益が渡されていたため、投稿は報酬を伴うプロモーション活動として実施されていた。
ただし、発信された画像や文章には、企業から報酬を受けていることを示す説明が付けられていなかった。「広告」やそれに相当する記載もなく、投稿者とアプリ運営会社との関係を確認できない状態だった。消費者庁は、閲覧者が通常の利用者による感想と企業広告を見分けられない表示だったと認定した。
自発的な体験談との区別つかず
SNSを利用した宣伝では、企業の公式アカウントだけでなく、第三者の発信力を活用する方法が広く使われる。今回の事例では、インフルエンサーによる日常的な投稿と同じ形式でアプリが紹介された。企業側の関与が伏せられたことで、商品を推奨する理由や投稿の背景が利用者に示されなかった。
投稿者が実際にアプリを使用して画像を作成していたとしても、企業から依頼や報酬を受けていれば、その関係を隠さず伝える必要がある。消費者庁は、宣伝を依頼した事業者が表示内容に責任を負うと判断し、アプリを提供する親会社と日本法人の双方を処分対象とした。発信を担当した人数の多さではなく、広告であることを明らかにしなかった点が違反の中心となった。
SNS宣伝の透明性確保を要求
措置命令を受けた2社は、今回認定された行為を踏まえ、再発を防ぐための対応を進めるよう求められた。インフルエンサーへ宣伝を依頼する際には、投稿を見る人が企業広告だと理解できる表示を行う必要がある。投稿者に画像や文言を提供させるだけでなく、公開時の表記まで適切に管理することが重要となる。
今回の判断は、企業名が投稿本文に含まれているだけでは、広告表示として十分ではないことを示している。アプリ名を紹介していても、報酬を受けた宣伝である事実が分からなければ、自主的な口コミとの区別はつかない。SNOWを巡る処分により、SNS上で第三者を起用する広告施策には、依頼関係と宣伝目的を明確にする運用が改めて求められた。