米欧間の溝が映るエビアン首脳会議の基本構図
フランス東部エビアンで開幕するG7サミットは、中東やウクライナの情勢だけでなく、加盟国間の結束も問われる会議となる。米国第一主義を掲げるトランプ大統領の就任以降、関税、イランへの攻撃、ウクライナ支援をめぐってG7内部では立場の違いが表面化してきた。前年のサミットでは首脳声明の発表が見送られており、民主主義や法の支配といった共通価値を掲げてきたG7の結束は揺らいでいる。今回の会議では、米欧間の距離をどこまで埋められるかも焦点となる。
トランプ氏出席に抗議する市民運動の広がり
サミット会場に近いスイスのジュネーブでは6月14日、G7開催やトランプ氏の出席に反対するデモが行われた。複数の団体が呼びかけ、主催団体によると数千人が参加した。参加者は、G7が世界の格差拡大を助長しているなどと訴え、トランプ氏のイラストや「G7はいらない」と書かれたプラカードを掲げて行進した。地元メディアによると、一部では車の放火や銀行の窓ガラスが割られる被害も出た。
専門家が訴える民主主義国家の結束の必要性
パリ・スクールオブビジネスのフレデリック・アンセル教授は、G7が主要な経済問題にとどまる限り、政治面で決定的な成果を期待することは難しいと指摘している。中東情勢の緊張が続く中、軍事やエネルギーを含む戦略的な議論で成果を出す必要性が高まっているとの見方を示した。さらに、G7各国が単独では米国に対して強い交渉力を持たないとして、民主主義国家が結束する必要性を訴えた。トランプ氏の強引で気まぐれな政策が損失を生むことを、G7の枠組みで理解させるべきだとしている。
G7の存在感低下と多極化が進む国際秩序の現状
G7は1975年に日本、米国、フランス、西ドイツ、英国、イタリアの6カ国で始まり、翌年にカナダが加わった。ロシアも参加してG8となった時期があったが、2014年のクリミア併合後はロシアを除外したG7に戻った。2022年のロシアによるウクライナ侵攻後は、ロシア産石油の取引に上限価格を設けるなど協調対応を取ってきた。一方、50年前には世界のGDPの6割を占めたG7の比率は、現在では5割を下回り、BRICSなど多極的な国際秩序を模索する枠組みの存在感が高まっている。
日本の役割が重みを増す今回の会議の意義と課題
欧州では米国への信頼低下も示されている。ヨーロッパ外交問題評議会が6月に公表した15カ国対象の世論調査では、米国を「同盟国」と見なす回答は11%にとどまり、おととし11月の22%からさらに低下した。約半数は米国を「必要なパートナー」と答え、25%は「競争相手」や「敵対国」と見ている。アンセル教授は、G7が欧州と北米だけの閉鎖的な集まりと見なされないことが重要であり、日本が極めて重要な役割を担うと強調した。今回の会議は、中東対応と同時にG7の存在意義を示す場となる。