早期導入を意識した協議始動
超党派で構成する「社会保障国民会議」の実務者会議は5月13日、給付付き税額控除に関する論点整理を行った。会議は非公開で開かれ、現役の中低所得勤労者を主な支援対象とする方向でおおむね一致した。制度の目的には、負担軽減に加えて就労を促すことが掲げられた。
議長を務める自民党の小野寺五典税制調査会長によると、各党からは時間をかけて精密な制度を作るだけでなく、導入のスピードも重視すべきだとの意見が出た。支援を必要とする層へ早く届ける観点から、簡素で実行しやすい制度設計も検討対象となっている。
所得連動の給付化も選択肢に
今回の会議では、事務効率を高める観点から、所得に応じた給付へ一本化する案を検討することも確認された。税額控除と給付を組み合わせる制度は、支援を細かく設計できる一方、運用面では手続きが複雑になる可能性がある。所得に連動した給付を中心に据えれば、行政実務を簡略化しやすい。
ただし、制度をどの形にするかは今後の議論に委ねられる。対象者の所得をどう把握するか、支援額をどのように決めるか、給付の時期をどう設定するかなど、実務上の課題は多い。早期導入を重視する場合でも、支援の公平性と制度の安定性を両立させる必要がある。
世帯ではなく個人支援を基本に
実務者会議では、支援単位についても方向性が示された。原則として世帯単位ではなく、個人単位で支援する方針でおおむね一致した。働く人ごとの所得状況に基づいて制度を設計することで、就労促進という目的を反映しやすくなる。
世帯単位で支援する場合、家族構成や世帯内の収入差により、制度の適用が複雑になりやすい。個人を基準にすれば、勤労者本人の所得に着目した支援が可能となる。一方で、子育て世帯など家計全体の負担が重い層への配慮をどう加えるかは、引き続き検討が必要となる。
支援基準と給付水準が課題に
小野寺氏は会議後、支援対象の基準や支援額について、今後さらに議論する必要があると述べた。制度の対象をどこまで広げるかは、政策効果と財政負担の双方に関わる。支援額の設定も、生活負担の軽減につながる水準と、制度を継続できる財源規模の間で調整が求められる。
子育て世帯への対応も主要な論点に位置付けられた。中低所得層の中でも、子どもを育てる家庭は支出が重くなりやすい。個人単位の支援を基本としながら、家族構成に伴う負担をどのように制度へ反映するかが焦点となる。
中間整理へ制度の具体化急ぐ
会議では、恒久財源の確保や、国と地方自治体の役割分担も課題として示された。制度を一時的な措置にせず、継続的に運用するには安定した財源が必要となる。加えて、給付や所得確認を担う行政現場の負担を抑える仕組みも重要となる。
高市早苗首相は、2年間の消費税減税後に給付付き税額控除を導入する考えを示している。小野寺氏は、制度の方向性が見えた段階で消費税の議論に入るとの考えを示した。実務者会議は夏前の中間とりまとめを目指し、支援対象、支援額、財源、実施体制に関する検討を進める。