過去最高決算を支えた大型空調需要
ダイキン工業の2026年3月期連結決算は、売上高と純利益がそろって過去最高となった。売上高は前期比5.5%増の5兆150億円、純利益は4.0%増の2752億円だった。業務用大型エアコンの販売が国内外で伸び、収益の押し上げにつながった。
中国市場では厳しい事業環境が続いたが、国内市場とデータセンター向けの大型空調が補った。米国の関税による影響も発生したものの、価格転嫁と原価低減で吸収した。空調需要の構造変化に対応した製品展開が、全体の業績を下支えした形だ。
生成AI普及で冷却需要が拡大
2027年3月期の業績予想では、売上高を5兆1500億円、純利益を2780億円とした。純利益は前期比1%増となり、計画通りなら6期連続で過去最高を更新する。営業利益は4360億円を見込む。
成長の柱となるのは、生成AIの利用拡大に伴って需要が増しているデータセンター向け空調である。サーバーの発熱に対応する冷却設備は、AI関連インフラの拡大とともに重要性が高まっている。ダイキンは空冷と液冷を組み合わせた提案力を生かし、米国を中心に大規模クラウド事業者向けの販売を進める。
配当増額と自社株買いを発表
同社は株主還元策も拡充する。2027年3月期の年間配当は1株360円とし、前期から20円引き上げる。配当方針も見直し、安定的かつ継続的な増配を掲げた。
さらに、3500億円の自社株買いを実施する。これは10年ぶりの自社株買いで、自己株式を除いた発行済み株式総数の約**5%**に当たる。株式の取得には「コミットメント型自己株式取得」を活用し、東京証券取引所の立会外取引で実施する。株価が過去の高値を下回る水準で推移するなか、資本政策の見直しを進める姿勢が鮮明になった。
外部コスト増に調達と価格で対応
収益環境には不安定要素もある。2026年3月期には、トランプ米政権の高関税政策が営業利益ベースで約410億円のマイナス要因となった。竹中直文社長は、価格転嫁とコストダウンで吸収したと説明した。
2027年3月期には、中東情勢の悪化によるコスト増が見込まれている。竹中社長は、2026年4〜6月期の営業利益ベースで約100億円のコストアップがすでに顕在化していると述べた。安定供給を維持するため、代替部品の調達や原材料の切り替えを進める方針を示した。
5年間で3兆円投資し北米を強化
同日発表した中期経営計画では、2031年3月期に営業利益率12%、自己資本利益率15%を目指すとした。2026年3月期の営業利益率は8.3%、自己資本利益率は**9.1%**であり、利益率の改善を中核課題に据える。
設備投資やM&Aには5年間で計3兆円を投じる。投資規模は過去5年間から5割増える。北米ではデータセンター向け空調を軸に、販売後の保守や継続サービスにつながる事業を強化する。最高益更新を続けるなか、成長投資と株主還元の両面で経営資源を配分する方針だ。