Prime Air拡張で数千万人を利用対象へ
米アマゾン・ドット・コムは8月19日、ドローン配送サービス「Prime Air」の提供地域を2026年末までに米国内の約500都市・町へ広げると発表した。現在は7州の10都市圏、計11拠点で運用しており、計画通りに進めばサービス範囲は現在の約6倍となる。対象となる顧客は数千万人規模に拡大する見通しで、シカゴ、シラキュース、クリーブランド、アトランタ、ボイシなどでも新たに展開する予定だ。
自律判断を支える検知回避システムを新たに搭載
Prime Airの機体には、周囲の空域や飛行環境を継続的に確認する「Detect-and-Avoid」システムが搭載されている。飛行中に周辺状況を把握し、機体自身が必要な判断を行える仕組みで、ドローン配送を広い地域で運用するうえで安全性を支える中核技術となる。搭載カメラやセンサーは航法、障害物の検知、荷物の配送に使用し、個人を追跡したり移動履歴を記録したりする用途には使わないとアマゾンは説明している。
FAA認証取得、安全とプライバシーに配慮
アマゾンは商用航空会社と同じ制度の枠組みに位置づけられる米連邦航空局のパート135認証を取得している。米国内のほとんどの地域で飛行するための許可も既に得ているとしているが、実際に各地でサービスを始めるには地域ごとの承認が必要となる。地元議会での公聴会や住民からの意見聴取も求められるため、全国的な展開には航空当局の認可だけでなく地域レベルの手続きも伴う。映像については人間がリアルタイムで監視せず、必要なデータは機体上で処理するとしている。
完全電動機で小雨や幅広い気温にも対応可能
使用するドローンは完全電動で、小雨や幅広い気温条件でも運航できるよう設計されている。騒音についてアマゾンは、荷物を下ろす約30秒間は路肩でアイドリングする配送トラックより低く、上空飛行時は弱運転の窓用扇風機と同程度で、屋内ではほとんど聞こえない水準としている。対象商品は食料品や化粧品、医薬品、電子機器など数百万点で、約2.3キロ以下かつ大きめの靴箱に収まる商品が主な対象となる。配送は最短30分、多くの注文では決済から約60分で完了する。配送料はPrime会員が2.99ドル、非会員が4.99ドルで、Prime会員は50ドル以上の注文で無料となる。
競合各社も参入、米ドローン配送競争が加速
米国ではドローンを使った配送サービスへの参入が相次いでいる。Uber TechnologiesとZiplineは8月17日、米国内でドローン配送を拡大する戦略的提携を発表し、年内のサービス開始と2029年末までに1日100万件の配送を目標としている。アマゾンは2013年に無人ドローン構想を公表して以来、10年以上にわたり開発と実用化を進めてきた。今回の約500都市への拡張計画により、Prime Airは限定的な展開から広域サービスへ移行し、米国のドローン配送市場では複数企業による事業拡大が同時に進むことになる。配送速度や運用範囲、安全対策を巡る競争も広がっている。