卵の供給改善と店頭の高値が同時進行
鳥インフルエンザの影響で落ち込んでいた卵の生産が回復局面に入っている。供給量の増加を受け、卸売市場では前年より価格が下がる動きが続く一方、消費者が目にする小売価格は高い水準から下がっていない。
6月の東京地区ではMサイズの平均卸売価格が1キロ当たり308円となり、前年同月を5か月連続で下回った。その一方、小売価格は2か月連続で最高値水準を記録した。供給回復による卸値の低下が進む中でも、店頭では高価格が続く状況となっている。
鳥インフルで減った採卵鶏が徐々に回復
供給改善の背景には、採卵鶏の数が回復してきたことがある。大規模な鳥インフルエンザの発生によって鶏の数が減少し、卵の供給量にも影響が及んでいたが、その状況は徐々に改善している。
昨シーズンに相次いだ鳥インフルエンザの影響から生産が持ち直したことで、2026年4月以降の卸売価格は緩やかな下落基調に入った。6月時点でも前年を下回る価格となっており、生産量の回復が卸売市場に反映されている。今後も鳥インフルエンザによる新たな供給減少がなければ、生産回復はさらに進む見込みとなっている。
インバウンドや朝食需要が卵消費を下支え
供給量が増えているにもかかわらず、年末まで価格が高水準で推移すると見込まれる背景には、堅調な需要がある。訪日外国人の増加に加え、朝食向けとして卵を使ったメニューが定着していることが需要を支えている。
9月28日に東京都内で開かれた会議では、養鶏農家、食品メーカー、小売企業などが向こう半年間の需給や価格動向を協議した。生産回復によって卸売価格は下がっているものの、需要の強さが続いているため、2026年末までは通常の年より高い価格帯で推移するとの見通しが示された。
来年前半の価格低下は生産回復が前提に
今後は、生産量の回復がどこまで続くかが価格を左右する。今シーズンに鳥インフルエンザが発生しない場合、2027年前半には卵の生産量がさらに戻り、それに伴って価格も低下していく見通しとなっている。
ただし、この見通しは鳥インフルエンザによる新たな大規模な供給への影響が生じないことを前提としている。今シーズンも発生が相次げば需給が再び逼迫し、2027年前半にかけても高価格が続く可能性がある。生産回復が進む現在も、供給面には鳥インフルエンザによる変動要因が残る。
供給増だけでは解消しない卵の高値続く
卵市場では、採卵鶏の回復による供給増加と、底堅い需要という2つの動きが同時に進んでいる。卸売価格はすでに前年を下回る水準へ移行しているものの、小売価格は最高値水準にあり、消費者にとって価格低下を実感できる状況には至っていない。
年末までは需要の強さを背景として、卸売価格も例年より高い水準が続く見込みだ。その後、鳥インフルエンザの発生がなく生産量の回復が進めば、2027年前半には価格が下向くと見込まれている。卵価格の先行きは、回復する供給量と堅調な需要に加え、今シーズンの鳥インフルエンザの動向によって左右される。