両国外相が経済関係の深化を協議
茂木敏充外相は8月3日、訪問先のメキシコでベラスコ外相と会談し、ワーキングランチを含めて約2時間意見を交わした。複雑化する世界情勢を踏まえ、日本とメキシコの協力を新たな段階へ進めることで認識が一致した。経済安全保障を軸に、企業支援や科学技術、資源・エネルギー分野で対話を継続する。
会談の冒頭では、ベラスコ氏が熊本県の地震を受けて哀悼と連帯の意を示した。茂木氏はこれに感謝を伝えた上で、共通の価値観を持つ戦略的なパートナーとして、両国関係を強化したいとの考えを示した。
自動車産業を支える供給網を強化
メキシコには自動車関連を中心とする多数の日系企業が進出しており、日本企業にとって中南米の主要な生産拠点となっている。両外相は、部品や原材料の調達を含む環太平洋地域の供給網を安定させる必要性を共有した。経済活動を妨げる事態に備えるため、経済安全保障を中心とした政府間協議を充実させる。
特定の国や地域に生産、輸送、調達が集中すれば、国際情勢や物流の混乱によって企業活動が影響を受ける。日墨両国は、政府間の情報共有や政策対話を通じ、製造業を支えるネットワークの強化を進める。
経済対話の初会合を年度内に開催へ
会談では、事務レベルの「ハイレベル経済対話」を新たに設け、今年度中に初会合を開くことを目指す方針で一致した。同対話では、供給網の安定化をはじめ、貿易や投資に関係する課題について両国の担当者が協議する。継続的な対話の場を設けることで、経済上の問題に早期に対応できる体制を整える。
両外相は、科学技術分野での共同の取り組みも進めることを確認した。経済分野だけに限定せず、技術や研究を含めた幅広い関係を構築し、国際社会の課題についても連携を続ける。
約1600の日系拠点の環境整備を要請
メキシコ国内の日系企業拠点は約1600に達し、中南米諸国の中で最多となっている。茂木氏は、進出企業が安定的に活動できるよう、事業環境の整備に向けた協力をメキシコ政府に要請した。企業の投資や生産を支える制度と環境は、今後の2国間経済を左右する重要な要素となる。
ベラスコ氏は、日本との経済関係をさらに強める考えを強調した。政府同士の協議に加え、日系企業の活動を後押しすることで、貿易と投資の拡大につなげる方針を示した。
資源協力を含む包括的関係へ発展
両外相は、メキシコが産油国である点を踏まえ、資源面での協力も推進することで合意した。中東情勢の悪化によってエネルギー輸送への懸念が強まる中、日本はメキシコから原油を調達し、輸入先を広げている。4月に表明された100万バレルの輸出を受け、7月にはメキシコ産原油を運ぶタンカーが日本へ到着した。
今回の会談により、両国の関係はエネルギー、製造業、企業支援、科学技術を含む多面的な枠組みへ広がった。年度内に予定される経済対話は、合意した協力を実務へ移す最初の機会となる。両政府は経済安全保障上の連携を軸に、日墨関係の継続的な強化を図る。