影の船団への制裁で日露の応酬が激化
日本政府がロシア産原油などの輸送に関わる船舶を追加制裁の対象に指定したことを受け、ロシア側が対抗措置を予告した。日本は10月2日、ウクライナへの軍事侵攻を継続するロシアへの新たな措置を発表した。これに対しロシア外務省は5日、日本の決定が両国関係をさらに悪化させるとの認識を示した。
ロシア側は日本の制裁を非友好的な対応と位置付け、強い反発を表明した。制裁の応酬をめぐっては、日本側が侵攻への対応として必要性を主張する一方、ロシア側は日本の外交政策にも批判を広げている。
原油輸送に関わる35隻を初めて指定
今回の追加制裁で焦点となったのが、ロシア産原油などを運搬する「影の船団」と呼ばれる船舶だ。日本政府は、この船団に含まれるタンカーなど特定の35隻を新たな対象に指定した。日本が影の船団の船舶を制裁対象とするのは今回が初めてとなる。
影の船団は、欧米諸国による対ロシア制裁を回避しながらロシア産原油を輸送する船舶として位置付けられている。日本はこうした船舶を対象に加えることで、ロシアへの制裁措置をさらに拡大した。
ロシアは日本の外交姿勢にも批判展開
ロシア外務省は10月5日の声明で、日本による追加措置を批判するとともに、相応の対抗策を実施する考えを示した。その対象について、日本側にとって重要な分野になるとの方針を明らかにした。一方で、具体的な対象や実施時期などの詳細には言及していない。
批判は個別の制裁措置だけにとどまらなかった。ロシア側は、日本が欧米諸国と足並みをそろえて対ロシア政策を進めていることについて、外交上の独立性が不足しているとの見方を示した。また、追加制裁はウクライナにおける和平の実現には結び付かないとも主張している。
通商関係をめぐる従来の枠組みに言及
ロシア外務省は日本への反論の中で、1958年発効の日ソ通商条約を取り上げた。同条約には両国間の海運や貿易を安定させるための内容が盛り込まれている。ロシア側は今回、日本がロシアとの協定を軽視しているとの立場を示し、制裁に対する批判材料の1つとした。
これにより、ロシア側の反発はウクライナ情勢に直接関係する問題だけでなく、従来の日露間の経済・通商関係にも及んだ。日本の追加措置に対し、ロシアは既存の2国間関係を含めた幅広い観点から批判を展開している。
制裁継続の日本と対抗姿勢のロシア
日本政府はロシア側の主張に対し、追加制裁の理由を明確にしている。木原官房長官は10月6日、日本の措置はロシアによるウクライナ侵攻を受けたものであり、ロシア側から批判される性質のものではないとの認識を示した。政府は今後の動きを注視し、状況に応じて対応する方針だ。
一方、ロシアは日本にとって重要な分野を対象とした措置を取る考えを表明している。具体策は示されていないものの、影の船団35隻への制裁を契機として、双方の立場の違いが一段と明確になった。日本が侵攻への対応として制裁を継続する中、ロシア側は日露間の通商関係も持ち出して対抗姿勢を示している。