急降下する旅客機の操縦室で深刻な事態が発生
ドバイからテルアビブへ向かっていたフライドバイの旅客機が9月30日、飛行中に急激な高度変化を繰り返した末、サウジアラビアへ緊急着陸した。機内では副操縦士が機長を刃物で襲ったとされ、操縦室を中心に重大な異常事態が起きていた。
乗客の証言では、機体は突然激しく下降し、一度安定した後にも再び高度を落とした。乗客は操縦室付近に人が集まっていることから問題が発生したと認識したという。機内の映像でも、急激な飛行状態の変化を受けて乗客が叫び声を上げる様子が確認された。
負傷した機長が扉を開け乗客3人が操縦室へ
副操縦士はオマーン国籍で、インド国籍の機長を頭など複数箇所にわたって刺したとされる。さらに機体を墜落させようとしたとの見方が示されている。負傷した機長は操縦室のドアを開け、客室側へ異常事態を知らせる形となった。
これを受け、イスラエル人の乗客3人が操縦室へ入り、副操縦士を取り押さえた。乗客のヤニブ・ハユンさんは、副操縦士を操縦室から引き離した後、航空番組で見た方法を参考に操縦かんを引いたと説明した。その後、機内にいた別の操縦士が機体を安定させる対応を取った。
高度1万300メートルから機体が急激に降下
機体は現地時間午前7時過ぎにドバイを離陸し、高度約1万300メートルまで上昇していた。ところが離陸から2時間余りが経過すると飛行状態が大きく変化し、約1分30秒の間に5300メートル以上も高度を下げた。
続いて40秒余りで1500メートル以上上昇した後、約1分で再び2000メートル余り降下した。その後は高度4500メートル前後で飛行したが、速度も大きく変化していた。別の飛行追跡情報でも、機体が旋回しながら短時間で数千メートル降下したことが確認されている。
別の操縦士が機体を安定させタブークへ着陸
副操縦士が制圧された後、機内にいた別の操縦士が飛行を安定させ、旅客機はサウジアラビア北西部のタブーク空港に着陸した。乗客174人に大きなけがはなく、搭乗者全員の安全が確認された。
乗客の大半はイスラエル人だったとされる。乗客の1人は、乗員と乗客が協力して事態を収拾したことでサウジアラビアへ到着できたと説明している。インドのナレンドラ・モディ首相も10月1日、負傷した機長の行動が多くの命を救い、大惨事を防いだとして評価した。
副操縦士の動機解明へ関係当局が捜査を開始
副操縦士は緊急着陸後にサウジ当局によって拘束され、取り調べを受けている。犯行に至った動機は判明しておらず、今後は身柄がUAEへ移送されるとされている。UAEでは検事総長が捜査を命じ、関係当局による調査が進められる。
イスラエルの対外情報機関モサドもテロの疑いで調査を開始したとされる。一方、フライドバイは当局による捜査が行われている期間、イスラエルを発着する便を停止する方針を示した。捜査に全面的に協力し、新たな情報を踏まえて運航再開を判断するとしている。
フライドバイは56か国、125以上の都市を結び、週平均約2200便を運航する航空会社で、ドバイ―テルアビブ線も毎日運航していた。今回の事態では乗客の安全は確保されたものの、操縦室内で何が起きたのか、副操縦士がなぜ機長を襲ったのかについて捜査が続く。