首都圏の平均価格は4か月ぶり1億円未満
2026年8月に首都圏で発売された新築分譲マンションの平均価格は9770万円となった。不動産経済研究所の調査では前年同月比5.4%の低下となり、4か月ぶりに1億円を下回った。ただ、今回の数字には地域別の供給構成が大きく影響している。
8月は高額になりやすい東京都心の新規販売が少なかった一方、千葉県船橋市で価格を抑えた物件の供給が増えた。首都圏全体の平均額が下がった背景には、この物件構成の変化がある。平均価格の低下と、個々のマンション価格の下落は分けてみる必要がある。
東京23区では依然1億3000万円超の水準
東京23区の8月の新築分譲マンション平均価格は1億3821万円だった。前年同月との比較では0.1%上昇しており、首都圏全体とは異なる動きとなった。都心部では高価格帯が定着し、一般的な世帯にとって購入の負担は重い状態が続いている。
中古物件にも高価格化の影響が出ている。港区で販売されている70平方メートルの2LDKは、5月に1億7990万円で売り出された後、買い手が決まらず7月に1000万円値下げされた。それでも契約には至っておらず、高い価格設定に購入者が追いつきにくくなっている事例の1つとなっている。
土地取得難で都心の新築供給は縮小傾向
新築マンションの価格を押し上げている要因には、資材費と人件費の増加がある。さらに土地そのものの値上がりも続き、不動産会社がマンション開発用地を確保することが難しくなっている。このため、東京都心では新築物件の供給数が減少する傾向にある。
9月15日に公表された都道府県地価調査でも、住宅地の全国平均は1%上昇した。上昇は5年連続となり、東京圏では4%のプラスだった。販売件数に鈍化がみられる一方で、土地市場では上昇傾向が維持されており、供給側のコストが下がりにくい環境が続いている。
高額物件には国内外からの購入需要続く
価格負担の増大がすべての購入者に同じ影響を及ぼしているわけではない。港区三田の36階建てマンションでは、高層階にある160平方メートルの住戸が16億円で売り出されている。不動産会社には国内だけでなく海外の富裕層からも問い合わせがあるという。
購入目的には自宅だけでなく、別荘や子どもの留学中の居住先も含まれている。株価上昇などを背景とした資産価値の増加も、高所得層の購買力を支える要因とされている。その一方、住宅ローンを利用する層では金利上昇が返済額を押し上げており、同じ都心市場でも購入者の条件による差が広がっている。
価格だけでなく供給量と販売速度にも注目
首都圏マンション市場をみる際には、平均販売価格だけでは実態を把握しにくくなっている。新築194物件を対象とした調査では、販売状況を「好調」と回答した割合が29%となり、前年より9ポイント低下した。東京23区では33%と16ポイント下がり、「苦戦」は14%まで増えた。
首都圏平均が1億円を下回る一方、東京23区は1億3000万円を超え、富裕層向け物件には需要が続く。さらに都心では開発用地の取得難から供給量も減っている。今後の市場動向を確認するには、平均価格に加え、供給戸数、販売に要する期間、住宅ローン負担を合わせて確認する必要がある。