AIブーム背景に利益と企業価値が急拡大
ソフトバンクグループはAI関連投資を拡大する中、業績と企業価値を大きく伸ばしている。2026年3月期の連結最終利益は前期比4.3倍となる5兆22億円に達した。6月1日には時価総額が48兆7848億円となり、一時はトヨタ自動車を上回って国内首位となった。
孫正義会長兼社長が率いるグループには1250社が属する。創業時から企業規模の拡大を掲げてきた中、現在はAI分野が主要な投資領域の1つとなっている。OpenAIへの投資もその動きを象徴する案件となる。
OpenAI投資で100億ドル超を新たに調達
ソフトバンクグループは9月21日、100億ドルと10億ユーロのシニア無担保債を発行する計画を進めていることが明らかになった。ドル建て債は3年半、5年半、7年半、ユーロ建て債は4年と6年に分けられる。
資金は10月1日の完了を見込むOpenAIへの第3弾の追加投資に充てられ、支払額は100億ドルとなる。このほか一般的な事業目的にも利用する。従来はOpenAIへの投資用として100億ドルのつなぎ融資を確保していたが、社債発行に伴って取り消される予定だ。
持株会社特有の配当収益と法人税の関係
巨額の利益を計上する一方、ソフトバンクグループの法人税負担を巡っては、純粋持株会社という事業構造が背景にあると指摘されている。記事で紹介された税理士の説明によれば、同社単体の主要収益は傘下企業などから受け取る配当金で、その多くには「益金不算入」が適用される。
子会社が利益に法人税を納め、その残額から親会社へ配当する場合、同じ利益への二重課税を避ける仕組みが設けられている。このため、会計上の収益が大きくても、その全額が法人税の課税所得になるわけではない。近年はアリババ株の売却益など配当以外の利益も増え、法人税額も増加しているとされる。
Arm買収後の取引は税制改正にも波及
2016年に英国の半導体設計大手Arm Holdingsを3.3兆円で買収した際の取引も取り上げられている。記事によれば、Arm側から子会社株の75%、2.6兆円相当をソフトバンクグループ側へ現物配当した後、価値が低下したArm株の大部分をグループ内の投資ファンドに売却した。
この取引によって巨額の株式譲渡損失が生じ、その損失を利益と相殺して課税所得を縮小する仕組みだったと専門家は説明している。その後、2020年の税制改正では、同様の手法を利用することができないよう制度が改められたとされる。
SBGは法令順守と適正な納税を強調
ソフトバンクグループは記事の取材に対し、各国の税務関連法令を順守し、適正な納税義務を果たしていると説明している。「租税回避の姿勢」とする指摘も否定し、単体収益の大半を占める配当金が課税対象外となるのは税制度に基づくものだとの立場を示した。
その一方で、同社はOpenAIへの100億ドルの追加投資を控え、100億ドルと10億ユーロに及ぶ新たな資金調達を進めている。5兆円を超える最終利益を計上する企業規模と、持株会社特有の収益構造、さらにAIへの巨額投資が同時に進む状況となっている。