ハイラックスFCEVを2028年から生産開始へ
トヨタの欧州法人は9月14日、ドイツ・ハノーバーで開かれた商用車見本市「IAAトランスポーテーション」で、水素燃料電池を搭載するハイラックスFCEVを2028年から生産すると発表した。商用車に求められる実用性を維持しながら、走行時に水を排出する燃料電池技術を組み合わせる。
新型車は第9世代のハイラックスを基礎として開発が進められている。過酷な環境や業務用途で使われてきたピックアップトラックの特徴を維持しつつ、水素をエネルギー源とする新たな選択肢として投入する。
航続400km以上と2500kg牽引を目標
公表された初期段階の目標性能では、1回の水素充填でWLTPモード400km以上の航続距離を確保する計画となっている。最大牽引能力については2500kgを目標としており、長距離移動だけでなく重量物を扱う業務への対応も想定する。
商用車では積載量や牽引重量によって必要となる性能が大きく変わる。ハイラックスFCEVは、水素燃料電池の特性を活用しながら、長い距離を移動する用途や高い負荷がかかる作業環境でも使用できる車両として開発される。
複数の動力源をそろえる欧州販売戦略を推進
水素モデルの導入は、トヨタが欧州市場で進める「マルチパスウェイ戦略」の一環となる。商用車は利用者によって走行距離、積載量、作業内容などの条件が異なるため、1種類の動力源だけですべての用途に対応するのではなく、複数の選択肢を用意する方針だ。
トヨタはバッテリー電気自動車に加え、48Vマイルドハイブリッドや再生可能燃料HVOに対応するディーゼル車などを展開している。ハイラックスFCEVは、そのラインアップに水素燃料電池という新たな選択肢を加える位置付けとなる。
欧州7社との協力で水素供給環境も整備へ
車両投入と並行して、トヨタは欧州での水素供給環境の拡大にも取り組む。9月15日には、ダイムラートラックやボルボ、ボッシュなどを含む7社との連携強化を発表した。トヨタは燃料電池システムの部品や充填技術を提供し、水素を使う商用車が継続して運行できる基盤の構築を進める。
欧州では主要幹線道路に沿って水素ステーションを整備する方針が示されている。2025年末の186か所から2030年には650か所へ増やす目標があり、車両投入と燃料供給網の拡大が同時に進められる形となる。
2030年の商用車販売20万台へ品ぞろえ拡充
トヨタの欧州商用車事業では、2030年までに年間20万台を販売し、市場シェア8%を達成する目標が掲げられている。すでに電気自動車仕様のハイラックスBEVも投入されており、FCEVの追加によって利用環境に応じた車両の選択肢をさらに広げる。
水素燃料電池車の展開では、車両性能だけでなく、燃料を供給するインフラの確保も欠かせない。トヨタはハイラックスFCEVの2028年生産開始と欧州企業との連携を並行して進め、商用車分野で複数の低排出動力源を提供する体制を強化する。